15-2

 しばらくして、ミカさんが戻って来ました。彼女は3つの箱を持っていました。


「……この箱、パパの部屋で遺品整理をしていた時に見つけたの。綺麗にラッピングされてたから、捨てずにそのままにしていたんだけど……」


『……』


「これ……パパがあなたのために用意していた、誕生日プレゼント……だと思うの。開けてみるといいわ……」



 箱には、番号が書かれた付箋が貼られていました。

 私は、ミカさんから受け取った3つの箱を順番に開封していきました。


「13」と書かれた箱の中には、右目のパーツが入っており、「14」と書かれた箱には、左目のパーツが入っていました。



「……綺麗ね。きっと、パパはこの目をしたあなたを見たかったんだと思う……。この目で、いろんなことを見て欲しいって、思ってたんじゃないかな……」


 ミカさんはそう言いました。


『いろんなこと……』


「……そう。……コレ、私でも付け替えられるかも。説明書もあるみたいだし……。いい?」


 彼女の問いかけに、私はうなずきました。



 そして、私は目のパーツを付け替えてもらいました。


「……どう?ちゃんと見えてる?」


『はい。問題なく見えています』


「そう……。よかった……」


 ミカさんは安心したように微笑みました。彼女の顔が良く見えます。



「……それにしても、どうしてパパは、わざわざ片目ずつプレゼントしようと思ったのかしら?バランスが悪いような気がするけど……」


 ……確かにそうですね。どうしてでしょうか。

 私が考えていると、ミカさんは口を開きました。


「まぁ……パパ、意外と抜けてるところあったからさ……。深い理由は無さそうだけど……。……そうだ、箱はもう1つあるんだったわ!」


 彼女は私に、開けていなかった箱を差し出しました。「15」という字が赤い丸で囲われています。


「これが最後のプレゼントになるけど……。ずいぶんしっかりと包装されてるわね……」


 3つ目の箱は、しっかりとした作りになっていました。開けると、中にはハート型の機械が入っていました。


『これは……』


 私はその機械を触ってみました。……ほんのりあたたかいです。



「それ……多分、あなたの心臓部じゃないかなって思う……。なんかそんな感じがするもの」


『私の……心臓……』


 私は、自分の胸部分に手を当てました。……しかし、何も聞こえません。


『……?』


 すると、何かを考え込んでいるようだったミカさんが、こう尋ねてきました。


「……それ、付けてみる……?あなたさえよければだけど……」



 ……私は、どうすれば良いのでしょう。心臓を入れたら、何か変わるのでしょうか。


 少し考えましたが、答えはすぐに出ました。


『お願いします』


「……うん、わかった。私も、上手くできるかわからないけど……。パパの娘だからね!きっと大丈夫だと思うわ!」


 彼女はそう言って笑顔を見せてくれました。



 早速、ミカさんは私を休息モードにします。私は目を閉じました。

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