8

 そして、8年目の誕生日。


「今年は、胴体をバージョンアップしよう!ナナシも8歳だね。早いものだなぁ……」


『はい。よろしくお願いします、マスター』


 8歳になったわたしは、今まで以上に高性能になりました。


「少し胴体の長さを長くしたんだ。これなら、いろんなことができると思うよ!」


『はい。ありがとうございます、マスター』


「はは……どういたしまして!」


 そう言って、マスターは照れたように笑いました。


「今までは、10歳くらいの子の身体だったけど、今度は15歳くらいの女の子のボディにしてあるよ。どうだい?違和感はあるかな……?」


 マスターが心配そうな顔をしています。わたしは答えました。


『いえ、特に問題はありません。むしろ、以前よりも快適です』


「そっか……!良かったよ……」


 マスターがホッと胸をなで下ろしています。

「そうだ、せっかくだし、今日はナナシの誕生日パーティーをしないか?ミカも誘って……!」


『……え?』


「あぁ……嫌ならいいんだけどさ。ナナシが生まれてから、ずーっと祝ってきたけど、今年はナナシが大きくなったし、久しぶりに盛大にやりたいなって思ってさ!」


『……いえ、嫌ではありません。ただ、どうして急に……?』


「うーん、それは内緒!でも、ナナシのことが大好きだからだよ!」


『!』


 マスターは恥ずかしそうに笑っていました。

……マスターがそう言うなら、きっと良いことなのでしょう。


 そして、マスターはミカさんに電話をかけに行きました。



 ……しかし、マスターは暗い顔で戻ってきました。


『マスター、ミカさんは……』


「……ミカは、いいってさ。僕たちだけで、お祝いしようか……」


『……』


「ミカも、高校3年生だしな……『いつまでそんなことやってるつもりなの!?』とか言われちゃったよ……」


 マスターは寂しそうに笑っていました。


「……君を妹みたいに思って欲しかったんだけどな……」


 ……よく分かりませんが、マスターは悲しんでいました。



『……マスター』


 わたしは、マスターの手を取ります。するとマスターは、驚いた様子でわたしの顔を見て、すぐに笑顔に戻りました。


「……ナナシ、ありがとう。君のおかげで、元気が出たよ!」


 そう言ってくれたマスターの声には、いつもの明るさがありました。


『はい』


「じゃあ、改めて……誕生日おめでとう!これからも、ずっと一緒にいよう!」


『はい……!』

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