4

 4年目の誕生日は、左足の部品を交換することになりました。


「ナナシ!4歳の誕生日おめでとう!さぁ、早速付け替えよう!」


『ハイ、よろしくお願いします』


「おー!すっかり慣れてきたようだね!動きもスムーズだし、これならすぐに付け替えられるだろう!」


 そう言うと、マスターはワタシの足の内部にある部品を交換し始めました。

 そして、あっという間に交換が終了しました。


「よし、これで完了だ。どうだい?調子は?」


『はい、とても好調です。以前よりもスムーズに動かせます』


「そうかそうか!それは良かった!それじゃあ次は、走る練習にしようか!僕の後に付いてきてくれるかい?」


『ハイ』


 そうして、ワタシとマスターは研究所内を駆け巡りました。


「ははっ!なかなか速いじゃないか!」


『ありがとうございます』


「よしよし!じゃあ、次のステップに進もう!僕がジャンプするから、君も飛んでごらん!」


『ハイ!』


 ワタシはマスターの言う通りに、思い切り飛び上がりました。

 すると、天井ギリギリまで飛ぶことができました。着地も上手くいきました。


「おぉ……。ぶつかるかと思った……!いやぁ、凄い跳躍力だね!」


 マスターは驚いた様子でしたが、褒めてくれました。


『ありがとうございます』


「いやいや、これは君の実力さ!もっと自信を持って!」


『……ハイ』


 ワタシが返事をすると、マスターは満足げな笑顔を見せました。


 それからワタシは、走り回ったり飛んだりと、いろいろなコトを試していきました。



***

 そして、数ヵ月後……。


『マスター。ワタシ、こんなに速く走れるようになりました』


「おぉ、凄いなぁ!じゃあ、今度は僕を乗せて走ってみる?なんて……」


『ハイ、やってみます』


「えぇ……マジで?」


 ワタシはマスターを背中に乗せると、勢い良く廊下を走りました。


「うわあああ!ストップ!ストーップ!!」


 マスターが慌てている声が聞こえてきます。


『?』


「……あはは!いや、最高だったよ!また今度、乗せてもらってもいいかい?」


『ハイ、もちろんです』


「よしよし、じゃあ約束だ」


 そう言って、マスターは小指を差し出しました。

 ワタシも、自分の左手の小指を出します。


 そして、「ゆびきりげんまん!」と言って、ワタシたちは一緒に歌いました。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る