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ある日、マスターがこんなコトを聞いてきました。
「ナナシ!今日が何の日か、知っているかい?」
『……?いえ、わかりません』
「ふっふっふ……今日はね、君と僕が出会ってから1年の記念日なんだ!!」
『!』
今日はワタシが生まれた日でした。
「だから今日は、プレゼントがあるんだよ」
『……プレゼント?』
そう言うとマスターは立ち上がり、「ちょっと待っててね」と言って部屋の外へ出ていきました。
しばらくすると、マスターがサッカーボールくらいの大きさの箱を持って帰って来ました。
「はいこれ!開けてみて!」
『コレは……?』
渡された箱を開けると、中には銀色の部品がありました。
『??』
「これは君のパーツの一部さ。これを付け替えれば、君もバージョンアップするんだ!」
『???』
「早速つけてみよう!ほら、腕を出して!」
言われるまま、ワタシは右腕を出しました。
マスターは、ワタシの腕の内部にある小さな部品を交換し始めました。
「よし、これでOKだ!」
そうして、マスターは満足げな表情を浮かべています。
「どうだい?何か変わった感じはあるかな?」
ワタシは、右腕を動かしてみました。今までよりもスムーズに動くような気がします。
『ハイ、とても調子がいいです。ありがとうございます』
「うん、良かった!」
そう言って、マスターは嬉しそうに笑いました。
「……ねぇ、ナナシ。こうやって、毎年記念日にお祝いしよう!その度に、君をバージョンアップさせるん だ!」
『?』
「えっと……つまり、これからも一緒に居てくれるかい?少なくとも、15年居られれば、バージョンアップが完了するからさ」
『ハイ、もちろんです。ワタシはずっと、マスターの傍にいます』
ワタシが答えると、マスターはホッとした様子を見せていました。
「……そっかぁ、よかった。じゃあ、これからもよろしくね!」
『ハイ、よろしくお願いします』
それからというもの、ワタシたちは毎日のように一緒の時間を過ごしました。
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