三日目朝「ベッドの中だと紗矢ちゃんの方が酷いよね?」

紗矢

「ふぁああっ」


/チュンチュン鳥鳴き声


紗矢

「朝か……アラームが鳴る前に目が覚めちゃったのね」


/ベッド上で身を起こす音


波矢

「むにゃ……」


紗矢

「まったく、幸せそうな表情しちゃって」


紗矢

「……寝顔は可愛いのよね、この娘。寝顔は」


紗矢

「起きてるときは隙あらばセクハラしてくる変態だけど」


波矢

「……すぅ……すぅ」


紗矢

「というか掛け布団はどこにいったのよ……私はもちろん波矢にも掛かってないってことは床に落ちてるわね、これ」


波矢

「ん、ん……」


紗矢

「昨日は一応ふたりとも掛かってたのに……私の寝相が原因か、それともこの娘の暑がりが原因か……まぁどっちでもいいわ」


紗矢

「……これさ、波矢が起きてくれないと私ベッドから下りられなくない? 頭は壁、左側も壁で、足元には棚。右側には変態……アラーム鳴るまでは寝かせておいてあげたいし、もうちょっとこのままね」


波矢

「ぅ……ん」


紗矢

「……あーもう、この娘ってば暑がりすぎでしょ。シャツが捲れてお腹丸見えじゃないのよ」


紗矢

「まったく……お腹弱いくせに暑がりでへそ出しって大変そうね……」


波矢

「んん、ぅ」


紗矢

「この格好でも暑いわけ? 身動きしたせいでシャツが更に……これ、角度変えれば下乳見えてるんじゃない?」


波矢

「すー、すー」


紗矢

「おっきいわね……年下のくせに……」


紗矢

「……波矢?」


波矢

「……ぅ」


紗矢

「寝てる、わね?」


紗矢

「…………目の前で、こう、呼吸に合わせて揺れてると……触りたくなってくるわね」


紗矢

「ちょっとだけ……ぉ、おおっ」


紗矢

「すごっ、指から溢れる……私のと全然違うわ」


波矢

「ん……んぅ」


紗矢

「というか、波矢も寝る時ノーブラだから感触が結構生々しいわね」


紗矢

「ん……こう、私の胸と揉み比べると……差が虚しいわね」


紗矢

「波矢は、私のこの胸、手のひらに収まるサイズだから良いんだよぉなんて言うけど……」


波矢

「…………ぁぅ?」


紗矢

「やっぱり大きい方が揉み応えあるわよねぇ」


紗矢

「やっば……癖になりそう。波矢ってばまだ寝てるし、もうちょっとだけ……」


波矢

「………………紗矢ちゃん」


紗矢

「きゃっ!?」


波矢

「……あの、取り敢えず、わたしのおっぱい揉むのやめよ?」


紗矢

「あ、あんたねえ! 起きてるならさっさと言いなさいよ!」


/アラーム音


波矢

「あ、アラーム止めるね」


紗矢

「……ええ」


波矢

「……紗矢ちゃん。今からわたし、自分のことを棚に上げて言うね?」


紗矢

「どうぞ」


波矢

「紗矢ちゃん、わたしと同じベッドだと何されるかわからないからって嫌がってたよね?」


紗矢

「……そうです」


波矢

「ベッドの中だと紗矢ちゃんの方が酷いよね?」


紗矢

「うぐっ」


波矢

「抱きまくらにされたのと、ニオイ嗅がれたのは寝ぼけてたからって言ってたけど……起きてると、おっぱい揉んでくるんだねぇ」


紗矢

「……」


波矢

「……え、なんで気まずそうに目を逸らすの!? まさか他にも変なことしてないよね!?」


紗矢

「してないわよっ! ただ、その……この合宿中、普段あれだけ波矢に文句言っときながらあんたと似たようなことしちゃってるなぁと思っちゃって」


波矢

「あー、うん。納得だけど……似たようなこと?」


紗矢

「……なにかツッコミ入れたいならこの際だからいいわよ?」


波矢

「紗矢ちゃん、わたしの言いたいことが完全にわかってるよね?」


紗矢

「何年幼馴染をやってると思ってるのよ」


波矢

「ほんと長い付き合いになってるよねぇ。わたし達って不思議と喧嘩とかしないもんね」


紗矢

「私らがそう思ってるだけで傍からだと喧嘩してるようにしか見えないことが多いらしいけど?」


波矢

「それは……うん、お互いの性格的に、ねえ?」


紗矢

「『ねえ?』じゃないでしょうが。結構図太い波矢さん」


波矢

「なにかな? クール振ってツンとしているように見えて、外面が剥がれまくり。それに自分の気持ちにはなかなか素直になれないのに欲求にはすぐ従っちゃう紗矢ちゃん」


紗矢

「……最後に関してだけど波矢にだけは言われたくないわ」


波矢

「そうだね、寝てる幼馴染のおっぱいを揉んじゃう紗矢ちゃん」


紗矢

「……うぁあ、波矢に与えちゃいけないネタを与えてしまった気がしてならないんだけど!」


波矢

「大丈夫だよ? ネタにするのはふたりのときだけにしておいてあげるから♪」


紗矢

「安心できないに決まってるでしょうが!」


波矢

「……んーならわたしもネタをあげるね?」


紗矢

「待って、それロクでもない予感しかしないから要らないわ」


波矢

「わたし……紗矢ちゃんのこと、割と本気で性的な目で見られるよ?」


紗矢

「でしょうね! あんたの視線と表情はガチとしか思えないもの!」


波矢

「じゅるり」


紗矢

「ひっ、この流れで私の胸見ながら舌なめずりとか怖いっての!」


波矢

「わたしもおっぱい揉まれたんだから、揉み返しても罰は当たらないよねぇ?」


紗矢

「うっ……そう、だけど……この後一日練習だし……」


波矢

「……それで?」


紗矢

「……せめて夜にして。明日は合宿場の掃除とかして帰るだけだし、多少テンション低くても問題ないでしょ」


波矢

「やったっ!」


紗矢

「そこでガッツポーズされるの不安だわ……」


波矢

「ガッツポーズするよぉ、だって今のって朝ごはんまでの時間じゃもの足りないって意味だもんね?」


紗矢

「違うわ!!」


波矢

「やる気でたぁっ! 今日の練習も頑張るぞ、おーっ!」


紗矢

「えぇ……キャラが違いすぎでしょ、あんた」


波矢

「紗矢ちゃんを好き勝手出来る楽しみがあれば誰だってこうなるに決まってるよぉ!」


紗矢

「誰も好き勝手していいなんて言って無いでしょうが!」


波矢

「にへらぁ」


紗矢

「気持ち悪っ」


波矢

「早く夜にならないかなぁ」


紗矢

「……なんか最悪な選択肢を選んじゃった気がするわ」


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