第13話:【団欒】①
ありあわせのものを使い夕食を作る。まずは米を研ぎご飯を仕掛ける。昨日の出がけに冷凍ストッカーからチルドに出し解凍していたアオリイカとハマチを適当な幅に切り皿に盛り付ける。
買い出しに行く時間が取れなかったため冷蔵庫の中は非常に寂しい状態だ。ほうれん草、レタス、新玉ねぎ、にんにく、ベーコン、バターを取り出す。野菜を手早く水洗いし、ほうれん草とベーコンのバター炒めとレタスと新玉ねぎで簡単なサラダを作る。インスタントのお味噌汁を用意。
調理が終わる頃に炊飯器から炊き上がりを知らせる電子音が鳴る。
テーブルの上には味噌汁、アオリイカとハマチの刺身、ほうれん草とベーコンのバター炒め、レタスと新玉ねぎのサラダというあり合わせの料理が並ぶ。
ドレッシングは和風、胡麻、シーザーを用意、刺身醤油にはワサビを添えておく。
彼女の分のご飯は皿に盛り付け、俺の分は茶碗に盛る。箸は使えないかもしれないのでナイフとフォークを用意する。
◇ ◇ ◇
イシェリカを呼びに二階へと上がる。
「イシェリカさん、夕飯の準備ができたぞ」
扉をノックし声をかける。
『はい、すぐに行きます』
返事が有り、彼女が扉を開けると足元を『れを』がスルリと抜けて寝室から出てくる。
「『れを』とは仲良くなれたかい?」
俺の問いに形容し難い微妙な微笑みを浮かべる。
『ずっとベットの下に潜んでいた様で部屋を出て行く姿を見るまでは同じ部屋にいる事も気が付きませんでした…』
「まぁ気にするな、それより夕飯にしよう。あり合わせのもので口に合うかは分からんが」
リビングに向かい席に着くと俺は食事の挨拶をする。
「いただきます」『いただきます』
彼女も俺に続けてぎこちなく手を合わせ食事の挨拶を口にする。
初めて口にする物もあるだろうと思い料理の説明簡単に済ます。米は同じような穀物があったようで抵抗なく受け入れて貰う事が出来た。ふっくらとした食感や甘味は全く別の物を食べている様だと驚いていたが。
彼女は箸を使う事はできない様だが、特に食べられない物はないようで上品な所作で料理を口にしていく。
彼女の住んでいた所では醤油やドレッシングといった物は無いようで味付けは塩、胡椒、一部のハーブを調味料として使っている事を後日聞いた。そのまま食べたり、醤油、わさびをつけたものをそれぞれ食べ比べたり、ドレッシングも三種類を食べ比べていた。料理の味付けは問題無かった様で、口にしては満足げな表情を見せてくれる。
わさび醤油がお気に召した様で刺身醤油にワサビを溶いて刺身を食していた。ドレッシングはさっぱりとした和風が気にいるかと思っていたのだが、意外にも胡麻が気に入った様だった。
「ご馳走様」『ご馳走様』
全ての料理を平らげ食後の挨拶を言い食器を流しに運ぶ。
食後のコーヒーを飲み、今後の事を話し合う前にまずは説明の続きをしておこう。
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