閑話 side 月乃瀬由香


 

 私の名前は月乃瀬由香。現在20歳の女子大に通う大学2年生です。

 私は実家を離れて一人暮らしをしています。

 勉強のためとはいえ親元を離れたことで色々と大変ですが毎日楽しく生活しています。


  

 そんな何処にでも居るありふれた大学生の私ですが、実はこんな私には好きな人がいます。

 それは隣に住んでいる彼――宮河祐樹君です。

 彼とは恥ずかしながら未だに直接話した事はありません。しかしそれでも私は彼のことが好きなのです。

 

 

 理由は色々あります。

 

 まずはその整った顔でしょうか。

 テレビでも雑誌でも見たことの無いような彼のその整った顔。

 私は面食いとしてこれまでの20年間生きてきましたがその中でも類を見ないほど、いや圧倒的な美がそこにはありました。

 ……何度盗撮しようと考えたでしょうか。それほどまでに美しかったです。


 

 次にその体格でしょうか。

 男性の中でも高めの身長に細身ながらも筋肉質な体格。

 何処かでモデルをやっていてもおかしくないほどのプロポーションを持っています。

 ……がっちりと強くその体躯で抱きしめられたいです。

 

 

 次にその声でしょうか。

 隣の部屋から希に聞こえてくる美声。

 その、高音と低音の良い部分を兼ね備えたような美しい声はずっと聞いていたいです。

 そしてその中に見え隠れする色気。

 ……率直に言って耳元で囁かれたいです。


 

 次に――――


 ……


 ……

 

 次に――――


 ……


 ……

 


 ――と、このように私は彼のことが好きなのです。


 

 

 そしてつい先ほど。

 私月乃瀬由香はその彼宮川さんにキスされてしまいました。

 




 


 ##############################################



 

 

  キスの後の私の行動は最速でした。

 

  放心状態から立ち直った私は直ぐさま家に入ると、玄関の鍵を施錠、部屋の電気を消灯、そしてベッドに横たわって全裸になり先ほどの光景を思い浮かべました。そして――

 

 

 「――っ!! はぁ……はぁ…… 」



 性欲を発散しました。それも幾度となく。

 正直今までで一番気持ちよかったと言えるでしょう。

 

 しかし女性は性欲が強いからか、発散しても発散してもし足りなく、そんな状態が続いたせいか気付けば真上にあったはずの太陽が沈んでいました。



 「……宮河さん」



 行為後に訪れるこの冷静憂鬱状態――所謂賢者タイム。

 

 普通ならこの瞬間は性欲が無くなった影響で冷静になるはずです。

 現に私の大学の友人は、その時間になると一切の煩悩が無くなるので睡眠や勉強に集中できると言っていました。

 

 ……しかし、どうやら私はそれすらも凌駕しているようです。

 やってもやっても無限に活力が湧いて来るのです。私は今、自身が人一倍性欲が強いのだと理解しました。


 

 ――やはり生じゃないと満足できないのでしょうか?

 


 考えるのは異性との性行為。身体を重ね合わせて抱きしめ合いキスをしながら……。

 とても気持ちがいい、それも性欲だけでなく心が満たされると言います。

 

 私は実際に経験が無いのでわかりませんが……そういったことを経験した人は皆総じてオナニーよりも気持ちよかったと言っていました。……まあ知り合いに生sexをしたことがある人は居ないのでネットの情報ですけど。

 

 なんでも、男性はそういった行為には慎重なので仮に付き合っていたとしても直ぐに一発……とはいかないようなのです。

 これは男性が慎重なのが悪いのか、はたまた女性が発情しているのが悪いのか。……はい、明らかに後者ですね。



 

 「宮川さんはそういったことには興味は……無いですよね」


 


 何言っているんでしょう私。そんな都合のいい事なんてそれこそ漫画でないとありえませんね。

 現実から目を逸らしてはいけません。



 

 「ですがもし……もし、仮にほんの少しでも興味があるのなら」



 

 万に一いやに一でも可能性があるのなら――


 


 

 ――――やらせてください!!


 


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