第3話 月乃瀬さん①
「この肉じゃが美味しいよ!」
「そうですか…!! 嬉しいです!」
「毎日でも食べたいよ!本当に!」
「え?! あ、ありがとうございます……!!」
――キャッキャッ
――ウフフ
現在、俺はお隣さんの美少女である月乃瀬さんの家にお邪魔している。
何故かと言えばお腹を鳴らした俺に彼女がご飯を恵んでくれているからだ。
……いやー女子の家なんて入ったの初めてだし相手は美少女だし緊張したわ。
先ほど"家に来ませんか"って言われたときはいろいろ妄想してしまった俺だが、どうやら彼女は純粋にご飯をご馳走してくれるつもりだったらしく、罪悪感が凄いよね。まあそんな都合のいい展開なんて……ラノベじゃあるまいし。
「本当にありがとう月乃瀬さん!わざわざ俺のために休日使わせちゃってごめん!」
そう。興奮してて気づかなかったがよく考えたら彼女はどこかに出かけようとしていたわけで……それをこうして俺のために時間を取ってくれて(泣) ……なんて良い子なんだ(n回目)
「いえいえ!私が好きでやってることですから! それに……あわよくば……モゴモゴ」
「ん?何か言った?」
「いえ!何でもないです! 私も誰かに喜んでもらえて嬉しいですから!」
「そっか……ありがとね」
「は、はい……」
うん、やべぇ緊張してきた。
美少女と美少女の家で二人っきり。こんなシチュエーションは初めてだからな……。
「……」
「……」
何より会話が続かない。
どうやら俺だけでなく月乃瀬さんの方も緊張しているようなのだ。
ということは一応異性として見られているって考えてもいいんだよね??
……ならここは男の俺が話題を振るべきだろう!
「つ、月乃瀬さんってさ……」
「は、はい……」
「か、彼氏とか……いたりする……?」
「っ!! い、いえ、いません……」
話題を間違えたかもしれない。……冷静に考えるといきなり初対面の人に聞くことじゃなかったな。
女性との会話の経験が少ない弊害だ。
しかしこの反応……何か慌てているような……はっ!もしや彼氏がいるのか!?
如何に女性経験が無くともアニメで鍛えた俺にはわかるぞっ!!
「いや、その反応的にいるでしょ! バレバレだよー!」
「い、いえ本当に! 彼氏はいません!ただ……」
「ただ……?」
「その……好きな人は……」
「……いるんだね」
「ッ……はい」
なるほどそっちだったか! つまり月乃瀬さんは恋する乙女ってことだな!
ちょっと……いやかなり嫉妬するわその相手に!!こんな美少女に好意を抱かれるなんて!!
……羨ましい。
「月乃瀬さんは美人だし、今日話してみて性格もいいってわかったからきっと大丈夫だよ!」
「?! そ、そうだと良いんですけど……チラッ」
「? 何か不安なことあるの? 良ければ相談乗るよ!」
俺から見たら月乃瀬さんは完璧美少女にしか見えないし……うーん。この世界の男の理想が分からん。
もしかして月乃瀬さんは不細工判定なのか?だとしたらもう本当にわからんぞ。
「……その、実は相手の方とはあまり話したことが無くて」
「あ……そうなんだ」
「はい。ですがその方はとてもカッコよくて……」
「もしかして……一目惚れってやつ?」
「……はい」
一目惚れかぁ……。そうなると相手との接点が無いと話す機会も少ないのか。
それにしても月乃瀬さんが一目惚れするなんて何か意外だな。そういうタイプには見えないし。
――やはり世の中は顔ですかそうですか!!
「月乃瀬さんでも一目惚れするんだね」
「そうですね……でも一目惚れで好きになるのは結構良くある話ですよ? 」
「え?! そうなの?」
「? は、はい。私の友達とか知り合いはほとんどの場合一目惚れですね」
「ま、まじすか」
こ、これがこの世界の常識なのか……。
俺やっていけるのかな……? もしかしなくても前の世界より厳しいよねこれ。
「あ、あの! ……き、聞きたいことがあるんです」
「うん? 何でも聞いて!」
何だろう? 男に対するアドバイスとかがほしいのかな?
確かに異性のことは同性にしかわからないもんね。
「……そ、その、宮河さんは今……好きな人とかいるのでしょうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます