第2話 隣人との邂逅


  裏アカのプロフィールはこうだ。


 

 『遊び相手探してます! 良ければ一緒に遊びませんか? 性格重視です(0゜・∀・) 』


 

  少し出会い系みたいなコメントになったが、そんなに違いはないのでokだ。

  留意点は顔に関しての指定をしないで性格を見るって書くことだろうか。

  

  この世界では皆美形の影響か、何かと人間を顔で判断することが多いのだ。

  ……本当俺にとってはどうでもいいことだ。




  プロフィール設定後、自分に関するいくつかの写真とコメントを投稿した。

  流石にプロフィールだけだと怪しまれると思ったからだ。……経験上。  

 

  自分が今住んでいる大まかな場所だったり、遊びに行きたい場所(海や遊園地や映画館)なども投稿した。

  これでより怪しさは軽減したと思う。これらの情報が有るのと無いのではやはり大きいだろう。

  その他の情報としては、自分の歳(20歳)や生年月日(9月3日)などの細かい情報も設定した。



  「これで十分かな! 誰も来なかったら俺から話しかけよう! …………お、もう夜か」


   

   集中してたのだろう。周りを見渡すといつの間にか夜になっていた。

 

   本来ならいつもの通りアニメや漫画を読みたいところなんだけど…………この世界には俺の好きなアニメも漫画も存在しなかったので直ぐに風呂に入って寝た。






 ##################################################################

  

   

 

  

  朝、外からの日差しで目を覚ました俺は空腹により昨日何も食べていなかったことに気づいた。

  今日は土曜日のようなので買い物に行くのもいいかもしれないな。何しろ冷蔵庫には何も入ってなかったのだ。この世界の俺はどうやって生活してたんだろうか……謎である。


  

  「行くか」



  顔を洗い寝癖を直して身だしなみを整えた俺は、早速買い物に行くことにした。

  どうやらこの家もといマンションは結構都会にあるらしく、徒歩圏内で大きめのスーパーがあるのだ。


  ――と、俺がドアを開いたと同時に隣の部屋のドアが開かれた。


 

  「「あっ」」


  

  ばっちり目が合ってしまった。

 

 

  転生後初遭遇の女性――お隣さんは俺と同じくらいの歳でとても可愛らしい顔をしていた。

  それこそ面食いの俺が反応するくらいには。……まあこの世界だと誰にでも反応しそうではあるが。


 

  「おはよ!」


  「えっ……あっ、おはっ、おはようございます!」


  

   俺がそう挨拶すると彼女は驚きつつも挨拶を返してきた。

   やはり馴れ馴れしかったのだろうか。……いやしかし。二度目の人生は好きなように生きるって決めたんだ。このくらい普通にならないと。目指せ陽キャだ!!


 

  「えっと、初めまして、で良いのかな? 俺は隣に住んでいる宮河祐樹!」


   記憶が無いから初対面かわからないが……何とかなるだろう。


 

  「は、はい。ご丁寧にありがとうございます。……私は月乃瀬由香です。隣に住んでいます。」


   やや俯きがちな彼女――月乃瀬つきのせさんとは初対面だったようだ。よかった。

   会ったことあるのに初めましては流石にヤバいやつ認定されるからな。

  

   それにしても……彼女は人見知りなのかな? さっきから挙動がおかしいし。

   何なら顔も赤いような……。気のせいかな?


  

  「よろしく! あ、じゃあ俺出かけるからまたね!」


  「あっ……はい……また、ね」


  

  可愛い女の子と話せてテンションが上がった俺はそう言って足を進めようとした……瞬間――盛大にお腹を鳴らしてしまった。



  「……」

 


  「……」

 


  「……」

 


  「……ふふ。――あ、ご、ごめんなさい! 」


 

  俺のお腹の鳴る音を聞いた月乃瀬さんは微笑むとそれに気付いたのか謝罪してきた。

  ……本当にいい子だな。そして顔可愛い。


 

  「いや、大丈夫だよ! 実は昨日から何も食べてなくて……」


  「え?! そうなんですか……ボソボソ……そっかお腹すいてるんですか……これってチャンスだよね……?」


 

  後半はよく聞こえなかったけどどうやら心配してくれたみたいだ。

  ヤバい好きになりそう……。俺ってチョロインだったのか。

  

 

  「そうなんだよね。えっと、じゃあ俺今から買い物に行っ――」


  「――あの!」


 

  俺が買い物に行くために話を切り上げようとした瞬間、何故か緊張した様子で月乃瀬さんが声を上げた。

  何かあったのだろうか?


 

  ……これってもしかして、一緒に買い物に来てくれるとか?! ラノベ的展開きtらあああぁぁ!!



 

 

  「良ければ…………私の家に来ませんか?」



 

  ――おっふ。

 

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