42話 一つの事を強くやり続ける男と、愛猫のじょうぎ
『ガンナイフ』の撲滅から2日後。強一は自宅の1階で愛猫じょうぎの背中をなでながら「母親が『一つのことを強くやり続ける男になるように』って病院に来てたじいちゃんに言い、『強一』という名前にしたらしい」と話しかけていた。
「大貴と一緒に温泉小で校内放送を始めて、駅や建物内での放送をよく聴くようになったんだよな。
上履きを図書室の椅子の上に置き忘れたことがあって、取りに来た兄さんに怒られたなあ」じょうぎはあくびをしながら強一のひざに乗り、「ニャー」と鳴いた。
母親が帰宅し、「じょうぎ―――♡」と嬉しそうに言いほおをなでる。「母さん。帰ってくるの早いね」
母親はネギやトマトを入れたビニール袋を机の上に置き「寺で聞いたんだけど、ルークさんとアイリーンさんの結婚式が教会であるんだって。源次郎さんにも聞いてきなさい」と言った。
強一が寺に行くと、パン屋の清太や賢の和食店で働く元『ガンナイフ』で23歳の男性が、ルークとアイリーンの結婚式について源次郎と案を出し合っていた。
「あんバターやカレーパンなどを、式の後に出そうと思うんです!」と熱弁する清太。
「肉や乳製品を食べない人が式に来たら、どうする?」と源次郎が聞くと、「カブのスープや梅干し入りのおにぎりなども出そうと、賢さんとも話しています」と男性が答えた。
強一が「源次郎さん、清太さん」と石段の上から呼びかけると、「強一。お前にも案を出してもらおうと思っていた」と言い、パイプ椅子を石段の上に置く。
清太が「会場の飾りつけについて、意見を出してほしい」と強一に笑みを見せた。
「『結婚おめでとうございます』と書いた緑や白のリボンを会場の壁に結んで緑色の布をかけ、ルークさんとアイリーンさんが来たら見せるというのは?」と強一。
「二人を驚かせるんだな。布の長さをどれくらいにするか、リボンにどうやってペンでメッセージを書くかを、『紫いもタルト』のライブハウスや『子ども食堂 キンモクセイ』で明人やマオたちとも話し合おう」
源次郎はリングノートに『結婚式の案1 リボンを会場の壁に結んで布をかけ、二人に見せる』と尾に持った紺のシャープペンシルで書いた。
「ルークとアイリーンが着るタキシードとウエディングドレスは勇樹が下絵を描き、真と秋次郎が作っていると聞いたぞ。結婚式は1月30日だが、完成までどれくらいかかる?」
「真くんと秋次郎さんが二人に着てもらい、飾りをつけたり、長さを調節しています。1月28日までに完成すると言ってました」と清太が答えた。
「タキシードとウエディングドレスの胸元に、栞の形の飾りをつけるのはどうですか?」強一が言うと、「二人が喜ぶぞ。ありがとう」と源次郎と清太、男性がリングノートにメモした。
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