16話 男4人の計画
―――11月1日。亮介は胸元に水色の手ぬぐいが描かれたDJポリスのベージュの制服を着て銀色のネクタイをつけ秋次郎と一緒に寺の見回りをする。
茶色いフリースに紺のズボン姿の50代男性が手に持ったスマートフォンを和室で九九と英文の暗記をしている小4と小6、英会話をしている中2と高3の女子に向け寺内に入ろうとしているのに気づき、「秋次郎さん!」と叫ぶ。
男性は激高し、隠し持っていたなぎなたで亮介の持つ盾を井戸の前に落とし転倒させようとする。
源次郎が和室にいる20人の小学生と中学生、高校生たちに「台所に避難!」と呼びかけ、尾で男性のなぎなたを地面に落とし青から緑に変わった目でにらむ。
亮介の襟をつかみ殴りかかろうとした男性のズボンに、背後から近づいたムートがかぎ爪で3センチの切れ込みを4本入れ高い声で鳴く。
男性は冷や汗をかき「ああ―――‼」と絶叫し寺から逃げようとしたが、「スマートフォンを凶器にするな‼」と激怒した源次郎に尾で腰を打たれ失神し、秋次郎に手錠をかけられた。
男が持っていたなぎなたは寺にいる15歳の男子中学生が使うことになり、僧の男性が布袋に入れ男子中学生に渡した。
―――午後1時。木の椅子に座り首に保冷剤入りのタオルをかけ氷入りの緑茶を飲む亮介に、「大阪の本拠地に6階建ての古いビルを持ち、14歳~30代までの女性を寝袋に入れカラオケ店に連れ込む暴力団『ガンナイフ』が鎌倉でも活動し、20人が連れ去られている」と源次郎と秋次郎が言った。「『ガンナイフ』?」
「ああ。首の後ろに紺の銃とナイフの刺青を入れ、『学校が終わったら抹茶ソフトクリーム食べよう』『新入社員です。和食を食べに行きましょう』と書いたラインを送って駅で会うんだ」と秋次郎。
「リーダーは大阪出身の50~70代の男で、今年の4月に元まんじゅう屋店主で55歳の男と店員で30代の3人が加入し暗躍中だ。大阪には40人の男が隠れていて、撲滅できん」源次郎が言い、息を吐いた。
「ありがとなムート」亮介が笑みを見せ顔の周りの羽をなでると、ムートはくちばしを開け笑ったような顔を見せた。
大阪にあるまんじゅう屋の1階では4人の男性が机の上に赤い寝袋や粘着テープなどを置き、笑みを浮かべていた。
「ワシらが連れ去るのは温泉小の音楽教師田原亮介の妻、美月さんや。ラインは送らず、愛読者が多い『リート新聞』を届け終えた直後に後ろから近づき、寝袋に入れてカラオケ店に運ぶで」34歳と31歳、30歳の3人が「はい」と答えた。
入り口で40個のイチゴ大福をガラスケースに入れていた23歳の梅本道也は4人に気づかれないよう息を吐き、スマートフォンで机の上に置かれた寝袋や粘着テープの写真を撮り終えた。
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