第4話
「さて着きましたね。ここは首都から一番近い狩場のマイム平原です。こちらは主に序盤は組合のクエストの素材がほとんど取得可能です。ただ要注意点としては川を隔てた先は高難易度のモーレック山の範囲になってしまうのであまり近隣まで行くことは非常にお勧めをしません。こちらのゲームの特質状はオープンワールドに近いですのでレベルに関係無く行くことができますので、高レベルモンスターを観察しに行きたいのであればご一緒いたしますが・・・・その場合は私も死を覚悟しなければなりません・・・」
「いやいやいやいや!!大丈夫です!結構です!NOです!無理です!まずこの近所でよろしくお願いしますぅ・・・」
承知ましたと八重桜は笑顔を浮かべながらフィリアと狩場に向かう。
(
「簡単な説明を致しますと、まずこういったMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインR P G
)では職業と言ったロール(役割)が決まってます。現実でも例えば学校で委員会や部活でそれ専門で集中してやると言った感覚ですね。その役割についてこのゲーム内では種族で分かれています。私のアバターは運営アバターなので種族固有職はなく、お客様に呼ばれて助ける場合の状況によって変更がされる形になっておりますが、お客様方ですとそうは行かず、ある程度の種族固定となっております。フィリア様の種族ですとヒール系バッファーとなりますね。」
「はい!サポートの方々の種族は知りませんでしたけど、自分のは先にプレイしていた友人から聞いていたのと、一緒にプレイしてほしい職業ってすごい細かく言われてたので何となくは分かってます!でも…実際に文章や動画だと分かりづらくて…動画だとわかる人前提だったり、知ってて当たり前みたいな感じで略語も使われるので本当によく分からなくて…」
「そうですよねぇ…略語は本当にわからないですよね…一体誰がそういったかわからない物が多々ありすし、運営が使用している略語なら良いのでしょうが…やはりフィリア様同様に思われているお客様は少なからずいらっしゃいますので、上に意見をまとめて提出し運営からの略語のリスト等を明記できるように参りますね。ご意見本当にありがとうございます。」
「ええええ!?とととっとんでもないです!!こんな今日始めたユーザーの話をを聞いて貰えるなんて・・」
「いえいえ!こちらこそとんでもないのですよ。その環境下にいるとその環境が当たり前になってしまい、いつの間にか非常識なことが常識になってしまう場合が実際の社会でも多々あります。新しく入った方がその環境に馴染む前の率直な意見は組織を客観的に見る良い機会なのです。特に弊社の様に大企業になりますと新卒や中途で入った方は会社の方針が絶対と思って何も言わない方が多いですので…本当に素直な意見はこちらとしてもサービス向上に繋がるため非常に重要なのです。ありがとうございます。」
「そう・・・なんですね…学校でも家でもそう言ってくれる事はないので本当にびっくりしました…でもふと思った事を運営の方が聞いてくれるって思うと嬉しくてこのゲーム頑張ろうって気持ちになります。不思議ですね…。」
「人の社会は意見を交換することができたから成長ができたという話もありますし、弊社代表の辰代も飲み屋で横に座って絡んで色んな人の話を聞いてきてますよ。だからこそこの会社は成長できたのかもしれません。」
「えええ、あの社長さんが…ご飯食べに行って話しかけてきた人が大企業の社長さんって凄いですね・・凄い緊張しちゃいそうです。」
「ああいえ、私も絡まれた側ですがガテン系御用達のチェーン店で売ってるような作業服で絡んでくるから、ただの気の良いおじさんって印象ですよ。だからこそ素直に自分の話をできてしまうのですが・・・」
「え?!世界中誰でも知ってるくらい有名な企業の社長さんなのに・・・・めちゃくちゃ意外です・・・でも親近感湧いちゃいました。私も始める前に動画で社長さんを見て「あーこんな面白い人が社長ならギスギスしてなさそう」って思いましたもん。」
「ああ!あれを実際に観られたんですね・・・社長より運営部の方々が全員青ざめてたのが懐かしく思います。ただそのフィリアさんのご期待を損なわない様にしっかりとサポートをさせて頂きたく思います。」
「はい!分からないことばかりですがよろしくお願いします!」
「さてさてでは、話を戻して種族での役割が決まっている話はしたと思いますが、その役割について少し踏み込んで話をしてみましょう。役割ですが『主に敵の攻撃を受け止めるタンク』『攻撃をするDPS』『回復をするヒーラー』『パーティメンバーのステータスUPや敵にステータスを下げるバッファー』『回避をと細かい作業や工作が得意なスカウト』が現状成れる職業となっております。簡単に流れだけですが、タンクが敵を堰き止めて、DPSが攻撃をして、ヒーラー・バッファーがタンクの回復とDPSの支援、スカウトが敵の位置を把握して計画的に敵を引きつけ、罠を仕掛けてパーティ全体への敵の阻害をするスカウト、という形ですね。その中でフィリア様はヒーラーとなります。そこまでは大丈夫でしょうか?」
「なるほど・・・・動画でみましたけど何してるか分からなかったので砕いて言葉にして貰えて初めてわかりました・・・私が回復をするのはタンクの方にすれば良いのですよね?」
「そうですね。考え方的には合ってると思います。タンクが死んでしまうとタンクと同じ防御力の職業はおりませんので、瞬く間にパーティが全滅してしまうかもしれません。ただタンクだけが敵に狙われる訳ではないので、パーティ全体の体力を見ておくことが大事になりますが・・・・っと極端に言いすぎましたね。大変申し訳ございません。プレッシャーをかけるつもりでは無かったのですが。」
「いえっ!私が回復を失敗したら色んな人に迷惑をかけると思ったらなんだか少し怖くなってしまって・・・・」
「そうですね、初めはそう思います。自分も若い頃フィリア様の年齢の頃にPCで初めてオンラインゲームをした頃そう感じました。ですがある時自分だけではなくパーティとは全員の役割の信頼の上で成り立っている事に気がついたのです。タンカーもDPSもスカウトも同じ様に自分の役割を失敗すればパーティ全員に迷惑がかかってしまう恐れを抱いてます。だからこそ全員で協力して助け合い、困難を打ち勝った際には耐え難い喜びとなります。それに失敗しても「気にしないでよい」という気持ちを持って現実ではできない「失敗」を繰り返して、少しでもその人の心の成長につながればと、公式の心情とあります。この世界ではどんな失敗でも覆せます。だからこそ自分が思うように自分に寄り添って自分の可能性を試してみるのも良いとは思います。長々と一方的に話してしまいすいません。」
「いえ!とんでもないです…ゲームだからって思ってましたけど色んな意味があるんですね…勉強になります。せっかくですし、この機会に試してみたいと思います!!」
「ありがとうございます。我々運営はお客様方の成長と幸せを何よりも望んでおります。と言うことでレクチャーを進めましょうか。脱線しすぎてしまい申し訳ございませんでした。」
モンスターとの戦闘からスキルの使うタイミング、種族特性から1次職から2次職、エンドコンテンツでの実際の活躍の話を聞いたりし、ゲームでの知識を深めていくのだった。
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