第3話
「History of Trees」は各国の歴史のIFを想定して物語を進めていくことがコンセプトになっている。現代の人間が現代の知識を持った上で、一から国をやり直し枝葉が育つ様に幾星霜の可能性を経て歴史が移り変わっていき、正史とは違う過程を踏んでいく中で擬似人生を歩む事により自国の歴史や自分の可能性、人との繋がり方を生んでほしいという辰代の願いが込められて立ち上げられた作品である。その為各サーバーは現実の国名とは違い、その国の逸話をある程度踏襲されている。日本ならば日本書紀から「秋津州サーバー」
運営チームも超巨大企業の為各国にサーバーを立て、その国々の歴史とレギュレーションを参考にして運営されている。
ちなみにだが、他国へのサーバー移動は可能であるが実際の出国と同様にビザが発給されビザの滞在可能日数のみ滞在できる。さらにいうと永住権を取得し、サーバーの永住も可能である。その為日本に居ながらアメリカのサーバーで遊ぶ事も可能だが、実際の永住同様にTOEICやIELTSといったその国が認めた語学のスコアや運営国側の思想チェックといった細かい審査があり、それをパスしなければサーバーの永住は変更出来ない。逆にいうと本気で留学やビジネスでその国に腰を据えなければいけない際の、実際の必要スキルを学ぶ機会になる為、そういった意味でプレイをしているユーザーも少なからずいるのが実際である。
また、国の運営チームのコンセプトは国花をモチーフにしており、日本は「桜」フランスなら「アイリス」アメリカは「薔薇」といったイメージしたキャラデザインをされ、各国のゲーム内の運営キャラとして実装されている。そして日本「秋津州サーバー」ではその「櫻」を冠に抱いた「十櫻シリーズ」として運営が10種の桜をモチーフに、各キャラクターに役割を与えそれに準ずる役職者が動かしている。主人公が所属する「お客様サポート課」では主に3種の「十櫻シリーズ」が使われており、「鏑木一叉」はそのうちの一種「八重紅桜」を使用しゲーム内にて業務に当たっている。
ゲームプレイが苦手な者がTOPであるが故、通常のMMORPGとして大きく違う点がこのゲームにはあり、それは良くあるNPC傭兵システムを「お客様サポート課」のスタッフが実際に動かし補助に入る場合があるという点である。勿論全ての傭兵お助けNPCに入っている訳ではない。基本的には大資本を使って作った疑似人格を搭載した超高機能AIが当たっている場合が多いが、プレイ状況やゲーム内での動向を運営側の診断で、人の補助が必要と判断した場合に割り当てられる様に組み込まれている。それにより序盤で起きやすい躓きを回避して「苦手意識」や「失敗体験」を無くす様にし、ゲームを楽しく遊びたいと望むプレイヤーを順応する補助をすることが1つの目的である。なお「楽しく遊びたい」の範疇は人それぞれであり、運営が求める「楽しさ」を逸脱する場合にはそれ相応の対応が待っている事もあるが・・・
[秋津州サーバー 首都シャロム]
「おぉ〜!これが『Hot』のゲーム内かぁ!人がこんなに居るんだぁ…流石今の首都だなぁ!」
初期装備を見に纏ったエニュの少女が感慨深く独白をしている
ゲーム『History of Trees」において現段階での種族は5種存在しており、それぞれ狼種近距離DPS「リーコス」・獺種ヒールバッファー「エニュ」・青海亀種タンク「サラソ」・大鷹種遠距離DPS」「ティプロ」・大蝙蝠種スカウト「ニュク」がいる。これらはアップデートにおいて種族解放が行われる度に職種と並行し種族も解放されている仕様となっており、それ故アップデート毎で戦略が大幅に変わる。極端な強キャラは来ないものの、パッチ実装毎のインスタントダンジョンやイベントにおいて新規ジョブが必要な場面をしっかりと要求してくる為、よくあるゲーム内で「職差別」が起きないように上手くバランスが取られるようになっているのが特徴である。
「さて、ゆーちゃんが言ってたけどキャラクリエイトとチュートリアルも終わって首都まで来れたから、サポート依頼をかけれるからコンソールから選択してっと・・・・NPCでもいいけど折角だから丁寧に教えてくれる運営の人が来てくれたらいいなぁ」
往来の邪魔になるのを避け首都から一度外のフィールドに出てからそういうと画面を操作し始める。
「えーと、メニューからパーティにいってから・・・フレンド検索から・・・あった!サポート申請っと・・これでマッチングしたら目の前に来てくれるんだよね・・ちょっと不安だけどワクワクするなぁ!」
程なくして「matching」の表示が点滅を終え「success」から「arrival」へと変わり地面にサークル状のエフェクトが起こり激しい光を発光しながら人物がゆっくりと現れてくる。
「この度はHistory Of Treesの新規登録、ゲーム開始誠にありがとうございます。申請いただきましたお客様サポート係より参りました、八重桜と申します。短い間になるかと思いますが良きアドバイスができればと思います。何卒よろしくお願い致します。」
そう言いながら濃い紅色の髪色をした男性キャラがお辞儀をしながら伝えてくる。
「はっ・・ひ、はい・・!よろしくお願いします。プレイヤーネームでフィリアと申します。よ・・よろしくお願いします!」
「フィリア様ですね。承知いたしました。ではチュートリアルを始めさせていただきます。と言いましても初心者マークがついているお客様の画面には全てナビがついておりますので、細かい説明は省かせていただきたいと思います。」
「そうですね!ボイスコマンドにも対応してくれて、読み上げてくれるから次何をしたらいいかが分かるのはすごい助かってます。ただすることはわかるんですが・・・・操作が・・・・」
「その通りです。皆様やはり同じ様に操作が覚束ない、不明な点がおおい、慣れないから楽しくなくて辞めてしまうという方が一定数いらっしゃいます。その為に私共が微力ながらサポートをさせて頂く形になっておりますので、お気になさらずゆっくりと慣れて行きましょう。戦闘の仕方でも人それぞれで相性や得て不得手もございますし・・では装備は装備済みになってらっしゃいますので、このままフィールドまで参りましょうか。」
「早速ですね・・・!緊張するなぁ・・・・」
「そんなに堅くならなくても、チュートリアルの装備でしたらモンスターが集中してこない限りは問題ありませんよ」
「いえ!それも怖いのですが、私の環境だと叔母が気張って最新スペックのPCをビルドしてくれたので・・・」
「おや!素晴らしい叔母様ですね。となると設定が最高設定のリアリスティックですね・・・描写の細かさから酔ったり等なかなか来るものがあると思いますがそちらもゆっくり慣れて参りましょう。素材確保数が減ってしまいますがシステムを1段から2段下げてみるのも良いかと思います。男性よりも女性の方が耐性が高い方もいらっしゃいますので、実際に触れてから判断してみましょう。」
「そうなんですね・・・折角ですし体験してから判断してみます。」
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