04 リノウの理能
今、
二、三の操作のあと、
「
もはや
動画内で話している壮年の男性は、キャプションで『
――……通信、大丈夫か? ああ、すまない。例の
――『
――早期の段階で君がわれわれの
「……ま、すでにお察しのとおり」
元々、DR.Itsukiを追っていたらしい。
かなり近いところまで行き、そこで身をひそめる必要を感じ、酒場を見つけた。
妙に強い酒が――火酒が飲みたくなり、飲んだ。
つい、裏口に出て、煙草を吸いたくなり――。
「ワタシと出会った」
「……仕組まれたものかもしれないがね」
「
DR.Itsukiは、特許などの資産を多く持ち、出来の悪いきょうだいの面倒を――具体的には
「代わりに」
そう言って、DR.Itsukiはきょうだいから子どもをそばに寄越すように告げた。
DR.Itsukiは天才だったが、その研究に衰えが見え始めた時期だった。
「やはり……肉の躰は衰える。最近、
それは分析として語っており、悲歎にくれてはいなかった。
なぜなら。
「DR.Itsukiは、己の研究を引き継ぐ方法を考案していたからさ」
Dr.Itsukiは集めたきょうだいの子らの中から「最適」と思われる一人を選んだ。
「それが私――
まず、記憶を消されたという。つまり、そうだったろうという、
「次に、Dr.Itsukiの投影である、という意で
もしかしたら、何らかのパスワード、
「Dr.Itsukiは狡猾にも――本人にはそんな意識は全くなく、己の研究継続の手段の一環としての手続きと思っていたろうが――政財界のお偉方から支持だと資金だの取り付けていた」
少年・
気づいたらすぐに、「自分でない自分」は、樹影を占領・支配した。
「
だが偶然にも
「
感謝した次の瞬間、そもそも自分は何なんだ、と思った。
「記録はある。だがそれは記録だ。記憶ではない」
そうこうするうちに、脳内にDr.Itsukiの声が鳴り響いた。
――まさか、アルコールとはな。やはり、生体のみでは駄目だ。機械の要素も併せ持つ……メンテのし易さも付け加え……。
ふらふらと。
「……目が覚めたら、燃え盛る屋敷の中を歩いていたよ」
恐らくDr.Itsukiなりの「報復」だろうと
そしてDr.Itsukiはどこに消えたのか。
あるいは、まだ己の中に――
気がついたら、
「酒や煙草を、
まるで聖水か浄めの火のように、
この躰を守るには、この躰を不健康に保つこと。
「何とも皮肉なことではないか」
「そのおかげで守られたではないか。わたしから」
不意の一言。
それまで、ずっと黙って聞いていた(と思われた)リノウから、常よりもさらに、無機質な声。台詞。
「……貴様?」
「精確には、わたしではない。わたしはDr.Itsukiのサブセット――のようなモノ。
「サブセット――『部分』か」
つまり政府首脳『
しかし、それまでリノウだった「リノウ」が手を
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