第八刃特に忌まれない御烏喰神事⑦


ラブホテル前の一本道はゾンビだらけ。


「ちっ、ここまで来るか、その因縁、五劫前に燃やしたと思っていたのにな」


ナチスの軍服、それも人狼ヴェアウルフのマーク付き。


日本の物とは一切合切無関係である。


「私だけを愛せ、愛せ、愛せ、愛せ」


呪詛、それも怨念渦巻く中心地には鬼畜な弾幕のように愛せ、と命令形だけがある。


「俺はな、お前と付き合っていると噂されただけでどれほど炎上したと思っている?」


「私は、貴方の最初の恋人、ヌルよ」


「記憶違いだ、それは母方の高祖父だ」


「うるさい違わない!貴方の香り、その炎、懐かしい、懐かしい、懐かしい!その全てを愛しながら呪う矛盾さが!黒と白のマーブル模様!もっと私を冷たい目で見て!私は汚物!汚物女!穢れきった屍!いつから?」


淡々と会話は交差しない。


最初からそれはX状になんてならない。


「うんざりする、お前とお前らも全員、俺はインテリメガネなんて、柄じゃないんだ、例え、眼鏡かけていても本質はアホだ」


歪に笑うゾンビ達、笑うだけ笑っている、量子力学の権威を結集しても即死は確実だった、750ccバイクを魔改造したような蹂躙。


この男、以外はーーーーーー。


「異能裏火継うらひつぎ赤悪魔黒金剛石燃焼レッドデーモンアブソリュートダーク


その炎、火継ひつぎ、聖火の継承。発火技術の幼稚な時代には、調理や採暖のための火種がつねに保存されたが、時代が進んだのちも宗教とのかかわりを保ちながら、聖火の継承を行うことがあった。黒と白の純粋な灰色グレーゾーンだ。


しかし、そこには白さなど微塵もない。


どす黒いアーキタイプな不良らしさの塊。


それを緋走は嫌々と思いながら燃やす。


「ここで、いっそ、ぶち殺してやる」


その彼の背後に更なる人間達が現れる、亜蛇頭あじゃとうによる治外法権的な入国である。


赤い盾ロートシルト、ロスチャイルドは有名だが、青い剣ブルーソードもいた。


英国王室の裏の眷属ハイドアンドシーク不死鳥仙人同盟フェッニックスハーミットギルドトップ、ミヒャエル・リー・ブルーソードとその御一行、四天王、巨山動く時、他の運命全てが乱れる、眠逆鱗スリーピングスケイル鬼亜きあ、母親が父親と性交させて受精した瞬間、毒精子により孕まされた女は全身を蝕まれた、迅殺じんさつ死龍しりゅう、超麻薬中毒者、常識外アンチノウン笑芥しょうけ、全世界の華僑を統率する若き長、大覇王ビッグタイラント羽影はねかげ


二重国籍、多国籍が特例で許された移民。


死龍が緋走に跪き、靴を舐め始めた。


暗黒院邪暗を始め、他の全員ドン引きした。


「お父さん、貴方の偽娘フェイカーです」


それともまた無関係に話は進む。


「あ!ヴァニタス氏!久しぶり!」


笑芥しょうけがナチス軍人を語る、何故ならばゾンビパウダーに里見機関の秘伝特上阿片を混ぜたのが他でもないこの娘であったのだ。


羽影はねかげが安酒鬼殺しの入った巨大瓢箪の酒を一息で飲み干した。完全に下戸ではない。


鬼亜きあが最後に彼女にこう言う。


「お前の存在が煩わしいから睡眠不足だ、女の子の睡眠不足は美肌の強敵なんだよ糞が」


ルキフグス、『大奥義書』によれば、地獄の3人の支配者ルシファー、ベルゼビュート、アスタロトに仕える6柱の上級精霊の1柱であり、首相、宰相を勤める。バアル、アガレス、マルバスを配下に持つ。


カバラにおけるクリフォトでは、ビナーに対応するサタリエルの長としてルキフゲの名が挙げられている。


ルシファーに命じられて世界中の富と宝物を管理しているという。『大奥義書』にはルシファーに呼びかけてルキフゲ・ロフォカレを召喚し、命令して富を得る方法が記されている。


ルキフゲ・ロフォカレの名前の前半部分はラテン語の2つの単語「Lux(光)」および「Fugio(逃げる)」からなっており、「光を避ける者」を意味することから、「光をもたらす者」であるルシファーとの関連が示唆される。また、後半部分は『ゴエティア』などの他のグリモワールに登場する悪魔のフォカロルとアナグラムの関係になっていることが指摘されてる。


イエズス会の神学者マルティン・デル・リオの著作『魔術の研究』(Disquisitiones magicarum, 1599年)の中では、光を恐れて昼に出現しない悪魔たちを指してルキフゲス(Lucifuges)という言葉が用いられている。この鬼神論書は(『大奥義書』が流布する以前の)17世紀に好評を博し、何度も版を重ねていた。


暗黒院邪暗はそんな事を軽く、啄む。


些細な事だと思うが実際、彼は野生の火龍に相違ない、他に何を例える必要があるか。


「こいつを殺したら、次はお前な」


羽影は呉越同舟だと断じた。


劉邦と項羽、まさしくそれに等しい。


巨大瓢箪は投擲された、残った酒に引火した、それはとてつもないほど爆炎を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る