第六刃特に忌まれない御烏喰神事⑤


「その前に、行くところがあったな」


と、暗黒院邪暗が急に思い出した。


かつて廃工場として地元の不良達の溜まり場だった場所はとある男に買われた。


ガレージにはまず夜叉凪工房やしゃなぎこうぼうと書かれている、右半分が工場こうばで左半分が道場、ジム施設に一般的なリング、サンドバッグ、そして和歌山県紀伊山地から伐採した木で出来た木人がある、いくつかは壊れている。入り口の立て看板には熊野灘銀影流古武術くまのなだぎんかげりゅうこぶじゅつと書かれている、それは武士と忍者が融和した究極的実戦格闘技と誇張されている。


そこには彼のバイクが修理出されている。


死神の気配を予感させる壊れた闇の鎮魂歌ダークレクイエムのスーパーバイク848ブラック DUCATI。


「修理、どうなっていますか?」


たどり着き、そんな事を工場の主に訪ねた。


他に、金髪の美女の秘書とツナギ服の元ギャルにも見える美女がいて、更には冴えない青年達も働いていた。


その横には筋肉もりもりの男と女がスパーリングやサンドバッグを叩いたりもした。


ジムに近いのか筋トレグッズも完備されており、それで筋トレもしている者達もいる。


奇妙な重奏アンサンブルがあった。


他にはマフラーの芯を抜くなどの改造を施すことから騒音が大きく、その音が雷に似ているとしてこの呼び名がついたカミナリ族の仕様の雷鬼らいきのイエローカラーリングのHONDA Dream CB750 Fourも修理に出されていた。


そして、緋走のバイクも二つある。


ここの二階は自宅と化したために。


一つ目はイタリアのバイクメーカーであるピアジオのスクーター、ベスパ946に、突然、望まれない兄弟が現れた。中国製の電動バイクビッフォーオールS15。


黒光りのブラックカラーリングのSUZUKI KATANA GSX1100S黒剣ブラックソード。ケニアやタンザニアの地方都市ではバイクタクシーは貴重な移動手段であり、ならば当然、バイクショップやバイクパーツがある。アフリカには黒人の奴隷化より、西洋白人が喉から手が出る鉱物があった、死んだ人間に入れればまた生きてるかのように動き始めゾンビになれる程の程の特殊なエネルギーを持つンザンビ黒鋼ブラックスティールと呼ばれるものである。それをカスタムパーツに各種の部分に転用、転換したのだ。次元さえも超越して移動する。


そんなモノの数々は彼は今、気にしない。


工房の主のバイクは工場の搦め手からめてにある。


「あぁ、来週ぐらいで終わります」


工場の主はそう言って、二人は去った。


二人が夜叉凪工房やしゃなぎこうぼうから離れていく中、破壊の音がした。苛立ちがどういうわけかピークに達したのだろう、どうやら木人が壊れた音がした、それは心理学では代償行動と呼ばれる物であり、DV対策に繋がるだろう。

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