トラブル解決の四季 1 

 沖田が銃をもった男たちを倒すと刀をもった男たちが気さくな雰囲気手近づいていきた。


「まさか東で真撰組に会えるとはな。手助け助かる」

「別に助けたわけじゃない。強いほうから止めただけさ」

「それは聞き捨てならないな。俺らがあんなおもちゃに負けると思ってるのか」

「お前らは馬鹿か。大した実力もないのに銃を相手にしたどうなるか子どもでもわかるぞ」

「言わせておけば言い気になりやがって。真撰組と言えど許してはおけん。ここは東戸だ。お前らの権力はない」


 男が沖田へと刀を振る。直後、刀は上空へと弾かれた。


「なんだこのガキ」

「戦う姿勢を見せてない相手に刀を振るのはサムライとしてどうかと思うよ」

「こ、このやろう! お前ら、かかれ!」


 男が指示を出すが一向に動きを見せない。それどころか四季も沖田も既に戦う姿勢をとっていなかった。

 男が後ろを見てみるとジェットが全員倒して地面に倒れていた。


「ちっ、覚えてろよ!」


 倒れた男たちも含め刀をもった者たちは去っていった。


「へぇ~、君ら強いんだね」

「最強のサムライを目指してますからっ」

「あんなやつら目を瞑ってても余裕さ」

「なんだか面白そうな子たちだ。ちょいと話しないかい」


 沖田と共に向かったのは繁華街にある古くさい店だった。ほかの店は外国の料理などがある中、この店はジパングらしい料理だけがおいてあり、そのどれもが安価で食べられるものばかりだ。


「俺はお茶と団子で」

「私はお茶漬けとたくあんがいいです!」

「さっき飯食べたろうに。私はお茶だけで」


 河上との戦いで軽くお腹を空かせてた四季は出てきた茶漬けとたくあんを美味しそうに食べ始めた。


「見てるこっちまで食べたくなるな」

「こいつ、一時間そこら前に飯食べたばかりだけどな」

「よく食べよく動けば問題ないさ」

「で、私らになにか用?」

「用ってわけでもない。ただ、幼いサムライと異国人が共に行動しているのが面白そうでね。二人とも現地民でもなければ旅行でもない。何しに東戸に来たんだい」


 四季はここまで来た経緯を沖田へと話した。サムライを目指していることや実際に結果を残していることに沖田は驚いたが、さっきの動きを思いだし納得した。


「涼真と会ってるのも気になるが、その初めて見たサムライは誰かわかるのかい」

「おじいちゃんが確か、武蔵と小次郎って」

「それは本当か?」

「はい。おじいちゃんって戦国時代のこととかサムライのことについて詳しかったので間違いないと思います」


 沖田は少し考え、お茶を一口飲むと話した。


「俺は真撰組として治安維持活動や荒くれ者を捕まえたり斬ったりしている。こっちの警察のようなものだな。だが、突如東戸から重要指名手配が各地に伝わった」

「誰なんですか?」

「現在、最強のサムライとされる二人。宮元武蔵と佐々樹小次郎だ」


 手配されていることもその二人が最強のサムライと言われていることも初めて知った四季は大きく驚いた。だが、それと同時にまだ生きているのだと知りどこか興奮も沸き上がっていた。


「でも、東と西じゃその辺の決めごとは共有してないだろ」

「よく知ってるな。そうだ、東と西は一つの国でありながら実質二分されている。俺ら真撰組は天帝を、警察は地王の指示を実行する。だが、治安維持のためかそれも言葉巧みに騙されたのか、重要指名手配に関しては国全体の共通化が行われた」


 武蔵と小次郎は悪党を見つけ出し暇潰しに倒しに行き、一般人には一切の迷惑をかけていない。だが、その強すぎる力ゆえにか地王が逮捕することに決めたのだ。


「でも、強いサムライなら二人以外にもいるんじゃないんですか?」

「そりゃあな。でも、二人は別格だ。俺よりも年上だがまだ若いしいまだに成長している。手がつけられなくなるのを恐れているのだろう」

「サムライの衰退はその二人を筆頭にか?」

「それもあるが実際のところ戦国時代以降だと言われてる」

「二百年もまえからか」

「この国はなにか得たいの知れない問題を抱えてる。解決の糸口を知るために隠居したサムライ、四大人斬りの一人、河上に会いに来た」


 河上の名を聞き四季たちは顔を見合わせた。場所を知っているが教えるかどうかを考えていた。

 真撰組には逮捕権限、反国主義者や反抗してきた者に対し刀を使い斬る権利を正当にもっている。

 河上は四大人斬りの一人と言われており、人を斬ったとなれば正当な理由がない限り真撰組の捕獲対象、または抹殺対象になりかねない。


「異様な反応をするね。もしかして居場所を知ってるな」


 体をビクッとさせわかりやすい反応を示してしまった四季は咄嗟に口を開いた。


「し、知ってます」

「へぇー、どこなのかな」

「教えるには条件があります」

「言ってみてよ」

「私と一緒にトラブルを探してください。そして、それを私の力で解決します!」


 なんとも不思議な条件に沖田は懐疑的に四季を見たがそれを了承した。


「なんだかわからないがいいよ。ちょっと面白そうだしね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る