トラブル解決の四季 2

 日常生活にはびこるトラブルなどはいくらでも見つかるが河上がそのようなことで認めくれるとは到底考えられず、もっと大きなトラブルがないかと探索していると警察が家の前で女性と話しているのをみかけた。

 ただの会話なら素通りすることころだったが、女性は泣いており何かを訴えかけており、警察側はどうやら困惑している様子だった。


「原はその時間にここに来てたんです! 殺すことはできませんよ!」

「し、しかしですね。橫海の警察が源原の私物を現場で見つけてるんですよ」

「とにかく、源原は横海の刑務所にいるので我々でなく横海の警察に話してください」


 警察はそういうとそそくさとその場を去っていた。女性は瞳に涙をためどうすればいいかわからない様子だ。

 そんな状況の中、四季は女性に声をかけた。


「あの、ちょっといいですか」

「悪いけどあとにしてくれないかしら。いまは人と話したくないの」

「源原って松田組の源原ですか?」

「あなた、原のこと知ってるの」

「横海のちょっとした腕試しで戦いました。決着つく前に警察につれていかれましたけど」

「あの人は無実の罪で捕まってるの」

「その話、詳しく聞かせてくれませんか?」


 女性の名は源薫。源原とは夫婦でありそこに至るまでには松田組が深く関係していた。

 そもそも二人は松田組の支部の支配下にあった町で暮らしていたが、原が自分等の権利をいつ強引に奪われるかを危惧し支部の家長と戦い倒し、その実力を本部に伝え自身が支部の家長になることを提案した。


 原の強さは松田組の中でもトップクラスであり、本部に上がるまでそう時間はかからなかった。しかし、自身の愛する人を危険な目に遭わせたくないため、薫を東戸に住ませ原は横海の本部で日々を過ごした。


 次に数回東戸へやってきては薫と会っていた原は胸に組の代紋をつけていたことから少しずつ存在が知られていった。

 警察に声をかけられることも増えたがそれでも原は一切嫌な表情をせずに対応し、次第にそれは東戸の警察にも伝わった。


 しかし、突如原は見に覚えのない殺人で容疑をかけられた。横海から東戸に向かう列車の中で刀を持っていた男がスーツを着た男性に殺されたというのだ。

 目撃者から代紋をつけていたことや決して高価なものではないが、薫との結婚に際して二人で身に付けたペアリングが落ちていた。


「その時、原は私といたの。殺せるはずがない」

「原さんの無実の証明か……」


 すると、沖田たちも四季のもとへ近づき先の話を整理し、沖田は一つの仮説をとなえた。


「組にとって原とやらがめんどうになった可能性はないだろうか」

「あの、あなたは?」

「俺は真撰組の沖田だ」

「西の町を守る組の人がなぜここに? いや、それよりもめんどうごとと言えるかわからないけど、原はいまの松田組を変えたいと常々言ってたわ」

「まさしくそれだろう」


 薫曰く原は何かを支配しそれを虐げ奪うような性格ではなかったという。自由を手にいれるために組に入る選択をしたのだ。


「沖田さん、原さんを助けるためにはどうすればいいですか」

「単純なことさ。真犯人を見つけること。原は殺人をできなかったという確実な証拠を手にいれること。このどちらかを行えばいい」

「これはとても大きなトラブルです。それに、本当に無実ならこんなことあっていいはずがありません。私がこのトラブル解決します!」


 意気揚々と宣言した四季だったがどうやって探すかなど方法は思い付いていなかった。

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