(7)
気付いた時には……あたし達は……爆弾みたいなモノが先端に付いた長い棒を手に持っている、大昔の潜水服みたいな格好の集団に囲まれていた。
そして、もう一人……。
潜水服集団を率いてるらしい……ナチのSSのコスプレの女の子。
その@#$%コスプレの女の子は……腕を組んで高笑いしながら、何かを言ってるけど……。
聞こえない……。
耳がキーンとなって聞こえない。
あたしは、まず、自分の耳を指差した後に、両手で
@#$%ナチ女は……それを見て「へっ?」と言う顔になり……しばらく考え込み、何かを叫ぶ。
そして、@#$%ナチ女の叫びと共に、潜水服の一団は、体育の授業の時の「休め」の姿勢。
じりじり……。
夏休みも終りに近いけど……地球温暖化のせいで、まだ、とんでもない猛暑の中、時間だけが過ぎてゆき……。
「あ……そろそろ、耳は大丈夫になったか?」
「う……うん……」
ナチコスの@#$%と、あたしは世にもマヌケな会話を交す。
「お……お前たち人間は、我々、レプタリアンが人間に文明を授けたのは、嘘だとほざいているが……」
本当は高笑いしながら言うつもりだったらしい台詞は……完全な棒読み。
「見るがいい……これが、我々がお前達に文明を授けた証拠だ。日本が世界に誇る『特攻隊』も、我々が、お前達に授けたものだったのだぞ……」
「文明授けるなら、もっとマシなモノを授けろ」
「もっとマシなモノって何だ?」
「駄目だこりゃ……」
「お前らに日本人に『特攻隊』と云う世界に誇る文明を授けた我々を阿呆扱いするのかッ?」
「11×11は、暗算でやってみて」
「判る訳ないだろッ‼ お前が、すぐに計算出来るのなら、我々がお前らより劣った種族だと認めてやっても良いが出来る訳……」
どたん。ばたん。
どたん。ばたん。
どたん。ばたん。
どたん。ばたん。
この猛暑に、潜水服みたいな格好して、野外で立ちんぼ。
あたしとナチ女が世にも低レベルな口喧嘩を交す中、謎の潜水服の集団は……次々と倒れていく。(多分、熱中症)
「121」
「嘘だ、嘘だ、絶対に嘘だ。デマカセだと、今、証明してやる」
そう叫びながら、ナチ女はスマホを取り出し……。
「もしもし、司令部。私です。あの……11×11はいくつですか? えっ? あ〜、すいません、お願いですから、殺さないで下さいぃぃぃぃぃッ‼」
ナチ女は、近くで倒れてる潜水服コスから爆弾付きの棒を奪い……。
「そ……そこに居る、我等が同胞を渡せ」
「何か……あなた達、爬虫類人間同士で内輪揉めやってるように思えるんだけど……それも、その内輪揉めの中心人物は……」
あたしは、亀人間化したあおいちゃんを指差す。
「な……何故、判った……? そ……そんな馬鹿な……。我々は……お前ら人間に、そんな高い知能を授けた覚えは……」
「馬鹿でも判るよ」
「嘘だ、嘘だ、嘘だ。クソ、司令部に戻ったら、情報を漏らした裏切り者を見付け出して粛清だッ‼」
「あの……えっと……ちょっとした思い付きなんだけど……」
「まあ……人間の思い付きなど、愚にも付かんモノだろうが、聞くだけ聞いてやろう」
「仮に、あんた達が人間に文明を授けたってのが本当だとしても……」
「本当だ」
「あんた達、知能がすごく退化したとか無いの? その……人間に文明を授けた頃よりも……」
変態女は、一瞬、あたしが何を言ってるか理解出来なかったような表情。
続いて、段々とショックを受けて……。
「な……な……なにを言ってる? そんな筈が……無い無い無い無い無いッ‼」
図星だったようだ。否定のしたかも馬鹿っぽい。
「あ……あの……なんか、あたし、迷惑かけてるみたいなんで、大人しく捕まります」
「ちょ……ちょっと待ちなよ……あおいちゃん……」
「ご……ごめん……何か嫌な予感しかしないけど……優希ちゃんの事は忘れないよ」
そう言って、自分から@#$%女の方に走り去る……走り去る……走り……えっと、亀人間だからって、人間の姿の時より走るスピードが段違いに遅くなくても、良くない?
あと、何で、わざわざ「女の子走り」?
@#$%女は、映画やアニメでよくあるテレポーテーション用の空間の穴を開いて……。
「ぐははは……これで、お前らも終りだ。この娘を生贄にして……阿蘇山を爆発させ、火山性ガスで、この辺り一体の恐竜どもを皆殺しにしてやるッ‼ 我々の勝利だッ‼」
……。
…………。
……………………。
えっ……?
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