(5)

 その時、霞み始めた目に映ったモノは……。

「……ギャ……ギャオ……」

「……ギャ……ギャオ……」

「ギャっ……」

(以下略)

 森から出て来た、色は違うけど外観はほぼ同じ6匹のモフモフ・チビ恐竜。

「ん……?」

 スーちゃんが、その6匹を見て首を傾げ……。

「ふみゅふみゅ、ふみゅふみゅふみゅみゅ〜」

 あたしを背中に乗っけてる恐竜の説明(?)を聞くと、大体判ったという表情かおになり……いや、恐竜の「大体判ったという表情かお」がどんな感じか説明しづらいけど、ともかく、そう云う感じの顔だ。

 そして、スーちゃんは深呼吸をすると……。

 震えた。

 空気が……地面が……木々が……。

 地面から……小石が浮き上がっている。

 史上最強の肉食動物にふさわしい怒りの叫びが……阿蘇山の周囲の草原に轟いた。

 キーン……。

 耳が聞こえ……あ……何だ……何で、あたしを背中に乗っけてる恐竜が走り出し……。

 ふらふらになってるあたしは背中からズリ落ち……。

 痛い。

 死ぬ。

 助けて……。

 あたし……このまま……こんな馬鹿馬鹿しい死に方……えっ?

 目の前では……もっと馬鹿馬鹿しい光景が……。

 スーちゃん以外の計8匹の恐竜がまとまって泣き出していて……ああ……そりゃ、さっきのあれは……かなり怖かったかも……。

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