(3)

 くそ……事態を打開する方法は……。

 まったく……この阿呆恐竜が他人の焼肉を盗み食いしなけりゃ。

 またまた、阿呆って言われたのだ。ガジくん、すごく、すごく、悲しいのだ。

 いい加減に……あれ? このチビ恐竜たちが「自分達の焼肉を盗み食いした」と思ってる相手って、ひょっとして……。

 人間さんは安易な思い付きを、いい考えだと思い込む習性が有るようにしか思えないのだ。もう少し、考えて行動すべきなのだ。

 うるさい、善は急げだ。すぐ変身を解け。

 え……えっと、嫌な予感しかしないのだ。でも、人間さんが御機嫌斜めだから言う通りにするのだ。

 あたしは元の姿に戻り……そお〜っと、この場を立ち去ろうと……。

 ん?

 チビ恐竜たちが、あたしの方を見る。

 そして、一斉に……。

 何で、チビ恐竜たちの鼻の穴が一斉に大きくなったり小さくなったりを繰り返して……あ……。

 うそ……。

 そんなの有りかッ⁉

「ぎゃおおおおお……」×6

 うそぉぉぉぉぉぉッ‼

 変身解いたのに、何で、あたしの体や服から焼肉の臭いがしてんのッ⁉

 くそ……。もう、何の考えるな、あたし。

 逃げろ。

 逃げろ。

 逃げろ。

 ともかく逃げろ、あたし。

 って、恐竜の姿の時より走るスピードが落ちてる。

 あと、人間の姿だと、あの恐竜達に噛まれたら、一瞬で死ぬ。

「ぎゃお」

「ぎゃお」

「ぎゃお」

「ぎゃお」

「ぎゃお」

「ぎゃお」

 うわあああ〜ッ‼ 助けて〜ッ‼

 と思った瞬間、あたしの両足が地面から離れ……。

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