(2)
ん……?
その時、別の音がした。
枯葉や枯れ枝を踏み潰す音……。
「ギャオッ?」×6
鳥だか恐竜だか判んないチビ達が、その音のした方を見る。
その隙に……。
あ……。
あたしの方も足音が……。
「ギャオッ‼」×6
あ……尻尾に何か噛み付いた……。
まあいい、全速力で逃げ……。
タテガミが……タテガミが……。
何か、あたしの背中に乗って、タテガミを引っ張ってるヤツが居る。
「ギャオッ‼」
「ギャオッ‼」
「ギャオッ‼」
「ギャオッ‼」
「ギャオッ‼」
「ギャオッ‼」
今度は、声がする場所がビミョ〜に違う。
と
お肉返せと言ってるのだ。
翻訳ありがとう。何の役にも立たないけど。
「ふみゅふみゅ……ふみゅみゅ?」
「凶暴6姉弟」とやらとは別の……何か脳天気な声。
その……声のする方向には……。
え……えっと……この時代に引っ越して来てる恐竜って、どんだけ居るの?
たくさんなのだ。
たくさんって何?
ガジくんは、人間さんの中には、3より大きい数は全部「たくさん」の人も、たくさん居るって聞いてるのだ。だから、ガジくんは、人間さんにも判るように「たくさん」って言ったのだ。
そんなヤツが、そうそう居てたまるかッ⁉
ああ、そうかなのだ……
へっ?
「ふみゅふみゅ?」
声の主は……迷彩風の模様に派手なオレンジ色のタテガミの、今のあたしの体より一回り小さい……スーちゃんより目付きが悪いテイラノサウルスっぽい恐竜だった。
あの子は、ガジくんの友達のタルボサウルスの
友達? じゃ、助けて。
「ギャウウウ……」×6
けど……。
「ふ……ふみゅ?」
6匹も居るけど……その6匹の合計より遥かに重い体重にしか思えない、迷彩模様だけど、派手なタテガミのせいで迷彩効果が台無しになってる怖い顔の恐竜は……怖い顔とは正反対の泣きそうな声を出しながら、じりじりと
「ふ……ふみゅふみゅ……」
そして、怖い顔のまま……あたしの方に助けを求めるような視線。
いや、助けを求めてるのは、あたしだって。
どうして、そんな怖い顔なのに……。
それを言っては駄目なのだ。注意するのだ。
何がッ?
あの子が気にしてる事が3つ有るのだ。1つは自分の顔を怖いと思ってるのだ。
いや、客観的に怖い顔だろ。
それは人間さんの感想なのだ。ガジくんは可愛いと思うのだ。
……そ……そうなの?
で、あの子が気にしてる事2つ目は、気が弱い事なのだ。
あんな怖い顔なのに、気が弱い?
それが3つ目なのだ。
は?
自分では怖い顔だと思ってるのに、すごく気が弱い事を、一番、気にしてるのだ。
何だよ、その、この状況では何の役にも立たないギャップ萌えは?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます