(5)

 お……おい、何をする?

 あたしは……変身なんかしたくない。

 嫌な予感しか……。

 いやがらないで欲しいのだ。ガジくん、悲しいのだ。

 やめろ、阿呆恐竜。あたしの意識を乗っ取るなッ‼

 ガジくんは、阿呆なのか、なのだ? ガジくん悲しいのだ。

 あ……でも、目の前に、元の大きさに戻ったスーお姉ちゃんが居るのだ。

 ガジくん、うれしいのだ。

 待て、あたしはうれしくないッ‼

 人間さん、ガジくんだけじゃなくて、スーお姉ちゃんも嫌いなのか、なのだ?

 ガジくん、悲しいのだ。

 やめろ、体があんたになるのは、もう諦めるから、あたしの脳味噌まで乗っ取る……うわああ……このままじゃ……人間の姿の時も、この恐竜に意識を乗っ取られ……。

 大丈夫なのだ。人間さんの体は、、うまく使えないので、人間さんの体を乗っ取っても、あまり意味はないのだ。

 おい、「まだ」って何だ、「まだ」って?

 説明は後なのだ。とりあえず、スーお姉ちゃんをガジガジさせて欲しいのだ。

 やめろ、何をする気……。

 がじっ♥

 おい、スーちゃん、何、変な声あげてる?

 スーお姉ちゃんは喜んでるのだ。もっと、ガジガジしてあげるのだ。

 がじっ♥

 がじっ♥

 がじっ♥

 がじっ♥

 やめろ、やめろ、やめろ、何だ、こりゃ?

 いやだ、いやだ、いやだ……まだ、あたしは人間でいたいんだッ‼

 あたしの体を使って、変な真似はやめろッ‼

 いやだ、もう、いやだ……。

「え……えっと……ひょっとして、俺様って邪魔か?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る