(5)

「どうなってんだよ……これ……」

 夕方、あたしは家に戻って来ていた。

 しかし……。

 スマホを見ると、あの妖怪がやらかした時代は、意外な結果になっていた……ようだ。

 熊本の町中で起きた事態は……ニュースにも話題にもなっていなかった。

 だって……SNSにも、新聞やTV局のサイトにもアクセス出来なくなっていたんだから。

「いよいよ……奴らも情報統制をやり出したようやね。奴ららしかやり方たい」

「うわああああ……」

 突然、真子ちゃんに居る筈の妖怪の声。

「どうしたとね?」

「いきなり出て来ないでよッ⁉」

そんな事そぎゃんこつ言うゆ〜とるけど、そろそろ慣れてもらわんと……」

 ベッドの上のタオルケットの中から顔を出す妖怪。

 恐竜の妖怪は、何故か、小さい手で、更に小さい恐竜のヌイグルミを抱っこしていた。

 もうやだ……。

 この妖怪のせいで、恐竜が嫌いになった。

「まさか、今日のアレも思い付きでやったんじゃなくて、何か企んでんの?」

「ウチの予想以上に面白かこつになりそうやね」

「もう、やめてよ……」

 ふと、ある事に気付いて、検索サイトである事を検索。

 そして……目的のサイトに辿り着き……。

「あのさ、スーちゃん」

「何ね?」

「今日、スーちゃんがやった事のせいで、何人死んだと思ってんだよ?」

 熊本市の火葬場のサイトには……『お報せ:現在、御遺体の火葬は最短でも3日待ちとなります』と書いてあった。

「あんねえ……何で、ウチ1人のせいにしとっとね?」

「はぁ?」

「あんたがらんと、出来んかったやんね」

 く……くそ……。

 でも、下手に、この妖怪に逆らうと……あたしに待っている運命は……あの姿にされた挙句に「人間に戻れんでも良かなら、好きにせんね」だ……。

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