(4)

「どっか、ここらへんに高かとこは……?」

「お願い、ややこしくなるから、ヌイグルミのフリしといて」

 アメリカ軍と中国軍の喧嘩(まだ口喧嘩だけど)を見ていたスーちゃんが、そう言い出した。

「あ、あそこビルが良かね」

「だから、人の言う事を……ん?」

「あれ?」

 次の瞬間、あたしは恐竜に変身してビルの屋上に居た。

 スーちゃんと真子ちゃんも一緒だ。

「あ……あの……お金払わずに路面電車を……」

「後にせんね、やるで」

「やるって何……」

 あたしは、続きを言う事が出来なくなった。

 バカデカい口が突如開いて……。

 ずきゅ〜ん‼

 斜め下に居る米軍と中国軍に向けて怪光線を発射。

 しばらくは……何も起きなかった。

 やがて、銃声。

 どうやら、「ガジくん」とか言う姿に変身したあたしの口から出る怪光線には、人間に混って暮しているレプタリアンとか言う爬虫類っぽい変な人(?)達の能力を無効化するらしい。

 その中には……「変身能力」も含まれる。

 つまり、爬虫類人間さん達は、人間の姿から、爬虫類っぽい姿に戻る。

 さらに、浴びたのが普通の人間だったら……その爬虫類人間さん達を殺したくなるそうだ。

「ね……ねえ、スーちゃん……」

「どうかしたとね?」

「まさか……日本以外の国でも……その……」

「決っとるやんね‼ 人類を裏から支配しとるレプタリアンどもを殺して殺して殺しまくるたい‼」

「よ〜し、がんばろ〜ね、優希ちゃん♪」

 真子ちゃんは……脳天気な声をあげた。

「で……でも……その……レプタリアンとか言う人達の中にも良い人ぐらい……」

「安心せんね、皆殺しにはせんよ」

「あ……ああ……そう……」

「うん、ウチらが、これから始める『正義の味方』稼業は、悪者ワルモンらんと商売あがったりやけんね」

 ……こ……この……妖怪……やっぱり、ロクな奴じゃない……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る