(6)

 その後、あたし達は、ワープしながら、いくつかの公園で人攫いをやった。

 何の意味が有るのかは判らないけど、その公園には共通点が有った。

 全て、富士山が見える公園。

「は〜い、じゃあ、次にこの恐竜さんの背中に乗りたい人〜?」

「は〜い」

「は〜い」

「は〜い」

「じゃあ、そこの君、乗る前に自己紹介お願いね」

「は〜い、御殿場市立御殿場小学校○年×組……」

 あたしは子供達を背中に乗せて、富士山のどこからしい場所を走り回る。

「そろそろ、お昼やね。今日のランチは牛肉たい。ステーキでも焼肉でも好きなだけ食べんね? あ、真子ちゃんやったっけ? スマホの電源全部落してくれんね」

「は〜い」

 ま……真子ちゃん……何やってんだよ?

 次の瞬間、再びどこかにワープし……。

「ふんぎゃ♪」

「ふんぎゃ〜♪」

「な……なにあれ……」

「あ、ベロキラプトルだ」

「やっぱり、羽根が生えてたんだ〜」

 キャンプ場らしき所で、足の親指の爪が異様にゴツい羽毛恐竜達がバーベキューの準備をしていた。

 ん?

 この臭い……知ってる。

 牛肉は牛肉でも……。

「この肉なに?」

「熊本名産の肥後褐牛あかうしやけど……。丸々一頭分有るで」

「どこで手に入れたの?」

「知っとるやろ」

「……え?」

「昨日の晩、あんたがガジくんに変身て殺したやろ」

「……」

「安心せんね。ウチも人間の常識は少しは判っとるけん……」

「どう判ってんだよ?」

「あんたの親がやっとる牧場の牛じゃなかけん、ノープロブレムたい」

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