(4)

「こ……この子……誰?」

 あたし達の背後にスーちゃんが浮いている。

 どうやら……真子ちゃんにもスーちゃんの姿が見えるらしい。

「ウチは……中生代から来た獣脚類の妖怪『スーちゃん』たい」

 ……。

 …………。

 真子ちゃんは固まって……ん?

「か……かわいい……」

 えっ?

「どこがだよッ⁉」

「可愛いじゃない」

「こんな恐い顔なのに?」

「でも可愛い」

「え……え……っと……」

 おい。

 スーちゃんは、いかにも「凶暴で凶悪な肉食恐竜です」といった顔を真っ赤にしていた。

「かわいい、かわいい、かわいい、だっこしてもいい?」

「よ……よかよ……」

「かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、かわいい」

「あああ……う……うれしか……。可愛いとか言われたとは六千六百万年ぐらいぶりやけん……」

 何だよ、この変な光景?

 おっかない顔の自称「妖怪」が子犬みたいに尻尾ふってやがる。

「あのさ……用が無いなら行っていい」

「あ……ちょっと待たんね」

「で、今日は誰を殺せばいいの?」

何をなんば、ぶっそうな事言っとっとね? 今日と明日は誰も殺さんで良かよ」

「明日もッ⁉」

「明日の用事が終れば、しばらくは何もせんでよかよ」

「で、何すればいいの?」

「今日は子供と遊んで、明日は、ちょっと追っかけっこ

「どうせ、嫌だって言っても、強制的に変身させるんでしょ?」

「えっ? 変身?」

 真子ちゃんが、そう言った瞬間……。

こういうこげんこつたい」

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