第3話 Ptくんでください

「ねえ、お願いします! 今年中にどうしてもランクアップしたいの」


「なんでそんなに急いでるんだ?」


「だってミューリは16歳で上級に上がってから4年間ずっとソロで上級クエスト受けてるじゃない。あなたこそ命をもっと大事にするべきだわ」


「お前さっき俺に命かけろって言ってたよな!!」


「こほんっ それでね? わたしも2年遅れちゃったけど、18歳のうちに上級に上がりたいの。ちょっとでいいからミューリに追いつきたいの。それで、わたしが上級になったらね?わたしとペアでクエスト受けてほしいの」


「そうか。お前も俺と一緒でハブられてたんだな、わかった。ハブられプロとして俺が一緒に」


「あ、それミューリだけ。わたしはナンパがうざいからソロしてるだけ」


 どうしよう。変なところでマウントとってくる後輩めっちゃ殴りたい。

 スカートめくってやろうかマジで。

 俺がアンナを睨んでいると、アンナが不安げに俺を見つめ、最終兵器を繰り出す。


「う……っ…うえええん!」


「ミューリ! ナカセタ! オンナノテキ! スケコマシ! ハゲ! ハゲ!!」


 ばっさばっさと羽ばたかせながらモモが周りを煽りだした。

 きたねえぞこいつら! あとハゲってなんだよ。お前が頭に止まるから加速してるだけだ。……今夜もケアしとこう。


「おいミューリてめえ! アンナちゃん泣かすとはあれか? 今日がお前の命日か?

 おいおまえら、命日祝いだ!!ミューリを『上手に焼けました~』の刑にしてやれ!」


「アンナさんお願いします。このクソザコナメクジな俺を調査に参加させろ、いえ、ください」


 周囲のハンターの剣幕に負け、俺は土下座でアンナさん、いやアンナ様へ懇願した。


「仕方ないなぁもう! 今回だけ特別に組んであげるわね!」


 そしてこいつは今後ずっとくっついてくるようになる。

 まともにパーティーを組んだことのない俺とアンナ。コンビを組んだことでさいきょう(最凶)の連携が生まれることを2人はまだ知らない。

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