いわゆる魔導、魔法の体系を感じる作品でした。魔法の設定を考えるときに出会えたら嬉しいと思います。
　魔法にはきっと思想や意思が伴っていて、書を編纂するように積み重ねていくことで魔法らしき法則に沿った体系が生まれるはずです。人形、風鈴、ガラスペンのモチーフはどれもリノウという語感と魔法とを見事に調和させていて、風鈴に封じられる魂とインクの表現から感じる血液（とは書かれていないですが）の色味が不気味な神秘性を醸し出していました。力を持った者寄りの死生観というか、何色と問われれば黒と金と赤と紫でしょうか。全ては説明のされない『リノウ式魔導工学』の輪郭がぼんやりと形を得ていくようです。戻って人形の踊る様子を読み返すと、そんな赤黒い雰囲気を人形自身は知っているのではなく、それらの体系に乗ってただ駆動している様で。詩歌調のリズムの良さからも鋭く冷たく美しく光るようでした。

　大変遅くなり申し訳ありません。この度は自主企画にご参加いただきありがとうございました。

リノウガラス。
発明されたら社会に変革を起こしそうです。