筆記具
リノウ式魔導工学に不可能はない。
ガラス製品の大量生産が可能になり、文房具業界は新たな局面を迎えた。
死者のオーラを再現したインク及びそれに対応したガラスペンが発明されたのである。
リノウ式魔導工学を用いることで、魂をインクに封印することに成功した。
専用のガラスペンを使用すれば、死者からメッセージを受け取れる。
毛細管現象は今も残っている。
魂も吸い上げ、さりさりとガラスペンは文字を綴る。
未練とインクの量は比例する。
未練が残っていればいるほど、インクの量は増える。
死者から手紙が届くということで、リノウ式ガラスペンは一躍有名になった。
魂から生み出されるインクは無限大、紙を美しく彩った。
それがたとえ、尽きることのない恨み言であったとしても、ガラスペンは走った。
虹色に輝く罵詈雑言には黙るしかないのだ。
リノウカンパニーの名前だけが歩き続ける。
その結果、リノウ式魔導工学に対応していない万年筆を使ってしまうものが現れた。
彼らはすぐさま呪われた。
解き放たれた魂は使用者を地獄に引きずり込むのだ。
そして、新しいインクになる。
魂は大量生産され、大量消費される。それが現代社会である。
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