Day 5 線香花火
線香花火が苦手だ、って君が小さな声で呟く。
「花火って大勢でやるじゃん。そんで散々騒いで最後に残った線香花火を、みんなで一本ずつ持って輪になってさ。みんな自分の花火が落ちないように手元をじーっと見てさ、あれが苦手。ああいう時に僕、ついついみんなの足元を見ちゃうんだよね。そうするとその中に必ずといっていいほど余計な足があるの。みんなサンダル履いてんのにそいつだけ汚れた裸足だったりして、絶対その場にいないはずの足なんだよね」
今もいるのって聞くと、君はうなずく。
「今、正面にいるから顔上げない方がいいよ」
そう言った君の手がかすかに震えている。持っている線香花火の先から、まだ火花を散らしている火の玉がぽとりと落ちる。
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