第33話 終業式終了の今、久人は先輩と今後のことを話すことにした
「……ねえ、こんなことしてみない?」
「本当にやるんですか?」
「うん……」
恵令奈先輩は恥ずかしそうにしているが、今日はやけに積極的。
先輩は久人の隣の席に座っている。
距離が近くなればなるほどに、爆乳を腕で感じることができるのだ。
こんな都合がいいことがあってもいいのか?
久人は内心、どぎまぎしていた。
数日前。今まで抱えていたすべての問題は解決されたのである。
気分は晴れ。何も迷うことなく、先輩との時間を過ごせているのだが、少々気恥ずかしかったのだ。
おっぱいが凄いって……。
久人の右腕に接触してくるおっぱいは多分、本物だろう。
この前より、若干、大きくなったような気がするが、どうなのだろうか?
そこに関しては聞いたことがなかったゆえ、確証はできないところだった。
今、久人と恵令奈先輩は、地元の町中にあるファミレスにいる。
学校終わりの放課後。一緒にいるのだ。
先輩と同じ空間に居られるだけでも気分がいい。
内面から湧き上がってくる興奮がなかなか、抑えられるものではなかった。
「久人、口を開けて」
「はい……」
久人は恵令奈先輩に言われるがままに口を開けるのだった。
それにしても、先輩から“あーん”をしてもらえるとは。
しかも、店内なので他の人も見ているのだ。
先輩と一緒に食事ができるのは嬉しいのだが、気まずいところが相まって、少々複雑な心境に陥ってしまう。
久人は頬を紅葉させ、無言のまま咀嚼するのだった。
「どう? おいしい?」
「……はい」
久人はおどおどしながら、本音で言った。
今、先輩の爆乳ばかりを感じており、恥ずかしさのあまり簡単な返事しかできなかったのだ。
でも、この瞬間を一緒に過ごせているだけで十分に幸せである。
これも、すべて、副生徒会長に復讐できたから手に入れられた現状。
先輩が抱え込んでいる悩みが解消され、今まで頑張ってきてよかったと思う。
最終的には、東海先輩の助力があって解決に至ったわけだが……。
先輩は、久人もそれなりに頑張っていたじゃないと言ってくれた。
多分、先輩は気を使ってくれたのだろう。
久人はそう感じていたのだ。
「久人、これで一緒に過ごせるね」
「そ、そうですね」
久人は頷く。
ファミレスを訪れる一時間前。恵令奈先輩の両親に、学校で生じていた一件の、その後について伝えに行ったのである。
その結果、先輩の母親から付き合う程度ならいいと言われたのだった。
不思議なのは学校での出来事が、なぜか、その両親に伝わっているということ。
恵令奈先輩曰く。学校関係者と、両親には繋がりがあるらしく、その伝手で知りえたのかもしれないと言っていた。
「それで、恵令奈先輩はこれからどうするつもりですか?」
「それはね、えっとね……明日から夏休みになるじゃない?」
「そうですね」
今日、副生徒会長の不在の状態で終業式が終わり、こうして、この場所にいるのである。
明日からどうするか。
夏休みと言えば、色々なことができる時である。
自分がやってみたいと思えることは、積極的にやっていきたいと考えていた。
それで、何をしようか。
久人は、そんなことばかりを、内心で思考するようになっていた。
「ねえ、久人が行ってみたいところってある?」
「え、俺ですか? それは……」
久人はすでに決まっていた。
けど、恵令奈先輩を焦らすように、間を開けてから返答することにしたのだ。
そして――
「海とか、そこに行きませんか?」
「海?」
「はい」
久人は提案する。
「でも、私、持っていないよ」
「水着とかですか?」
「うん……この頃、また、おっぱいが大きくなって。多分、入りきらないし」
「……⁉」
先輩の発言に、久人の視線はおっぱいばかりへといってしまうのだ。
本当に……大きくなっていたのか?
憶測ではあったが、まさか、デカくなっていたとは……。
久人の腕に当たっていた爆乳の感度。
それだけで、おっぱいの成長具合を当てていたようだ。
「ねえ、どうしたの?」
「え、いや、なんでもないです……」
久人は誤魔化すように、その場を乗り切ろうとする。
下半身が反応してきて、どうにかなってしまいそうだった。
先輩に気づかれないように、下半身の成長を抑え込むしかないだろう。
「えっと……そ、それでしたら、水着とかを購入しに行きませんか?」
久人は先輩へ、話題をふる。
その静まった空気感を打ち崩すように、明るく振舞った。
「そうだね。いつ行くの?」
「いつでもいいですけど。明日から普通に休みですし。明日でもどうでしょうか?」
久人はそこで、さらなる提案をしたのだった。
が、そんな中でも、久人のニヤニヤが収まることはなかったのだ。
「わかったわ、明日ね」
「はい」
久人は元気よく頷くのである。
これで一安心。
明日から、爆乳な恵令奈先輩と本格的にデートができる。
そう思うだけで、テンションが高ぶってくるのだ。
同時に、下半身も反応してきて、そのたびに卑猥な思考回路になっていくのだった。
「恵令奈先輩は、どこかに行きたい場所とかってあるんですか?」
「私は、まあ、どこでもいいけど。普段行ったことがない場所がいいかな?」
「普段、行かない場所……」
どこだろうか?
そもそも、先輩は普段、どこに行っているのだろうか?
恵令奈先輩とまともに会話するようになったのは、今月からであり、彼女の知らない一面だって、まだまだあるのだ。
久人は知りたかった。
先輩がどういうことに興味があるのか、もっと理解したいのである。
爆乳とかではなく内面的なことをだ。
本音で言えば、豊満で高校生徒は思えないほどのおっぱいが、実際のところ、どれくらいの大きさなのか知りたい。
そういった如何わしい感情があるのも事実ではあるが、それに関してはうまく抑制をかけつつ、先輩と真剣に向き合うのだった。
「どこですかね? 恵令奈先輩の知らないところって? まだ、行ったことのない場所ってあるんですか?」
「それは……どこだろうね……」
恵令奈先輩は考え込んでいた。
彼女の家系はお金持ちである。
家族とかの旅行とかで、色々と回り歩いているに違いない。
逆に行ったことのない場所を探る方が難しいのだろうか?
「そういえば、絵画展とか、そういう風な場所は?」
ふと、久人は思ったことを口にする。
「そこにはね、家族旅行とかで行ったことがあるよ」
「ありますよね……うん」
やはり、そういったところは経験済みという事か。
であれば、どこだ……?
久人は考え、パッと思いつく。
夏と言えば、海とかプールなのだが、それ以外に夏らしい場所。
「水族館とか? 行ったこと……やっぱり、ありますよね?」
「……うん」
「ですよね」
「けど、久人となら、一緒に行ってみたいかな」
「……⁉ 本当にですか?」
久人は驚くように、右の席に座っている先輩の方を見た。
「うん」
「じゃあ、そこにも行きましょうか」
「そうだね」
先輩はそこに一緒に行ってくれることになった。
これでまた、先輩との約束の場所ができたということになる。
「水族館は、ここら辺にはないですかね……?」
久人はスマホで調べることにした。
身近であればいいのだが……。
調べていくと、別の街にあるようだ。
地元の駅から一〇コ先の場所ではあるが、行けないことはない。
「あったんですけど。そこにしましょうか?」
「久人となら、別にいいよ」
恵令奈先輩は笑顔で承諾してくれる。
先輩の笑みを見れただけで、内面が熱くなってくるのだ。
今年の夏休みは本当に良くなりそうな気がする。
ようやく、彼女がいる夏休みを過ごせると思った。
「そういえば、生徒会役員のところはどうなったんですかね?」
「それは、一人空白ができた感じだけど」
「空白? いつか、選挙とかするんですかね?」
「多分、すると思うけど。でも、急なことだから、先生の方で選ぶことになるかもね」
「そうですか……」
久人は俯きがちになった。
できれば、その枠に入りたいという願望があったからだ。
でも、そうそう上手くはいかないだろう。
それに生徒会役員の仕事はそれなりにハードである。
パッとしない奴が、勤まるわけがないと思い、久人は諦めることにした。
別に、一緒の委員会に属さなくてもいい。ただこうして、先輩と一緒に過ごせているだけでも嬉しく思えた。
刹那――
久人は隣にいる先輩の爆乳を感じ始めてしまう。
もう下半身が限界だと察したのである。
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