爆乳な生徒会長から結婚前提の公開告白をされた瞬間、なぜか、モテ始めたんだけど、これは一体、なんていう美少女ハーレムなんだ⁉
第24話 俺はなんの考えもなしに、あの生徒会長を追放しようとしているわけじゃない
第24話 俺はなんの考えもなしに、あの生徒会長を追放しようとしているわけじゃない
「お前、なんで勝手に入ってきたんだよ」
久人は、室内を見渡す。
が、生徒会長の姿はなかった。
今は、一時限目が終わった直後の短い休憩時間である。
いなくて当然かもしれない。
「……」
久人は無言で、威圧的な話し方をしてきたヤツを睨むように見た。
その瞳には、副生徒会長の姿があったのだ。
彼は、席から立ち上がり、不満そうな表情を見せている。
相当、久人のことが気に食わないのだろう。
事前の連絡もなしに、勝手に入り込んでいるのである。
そういった態度をとられてもしょうがないだろう。
けど、それ以上に、副生徒会長の存在に嫌悪感を抱いているのだ。
だからこそ、久人は敵意を向けられたとしても、さほど気にはしていなかった。
「何だよ、お前さ。無視か? 俺に向かって、その態度は何なんだよ‼」
高圧的な態度で距離を詰めてくる副生徒会長。
扉前に佇む久人の近くまでやってくるなり、“帰れ”と言った表情を見せてくる。
「俺は今、作業中なんだ。無駄な奴の相手なんかしている暇なんてないんだ」
「……俺も好きで、ここまで来たわけじゃないさ。それより、生徒会長は?」
「あいつなら、今はいないさ。俺はな、先生からの依頼で午前中はここで作業することになってんだよ。お前みたいな奴がいると作業にならないんだ。さっさと、立ち去れって」
「……今は君一人ってこと?」
「ああ、見てわかんないのかよ」
副生徒会長は苛立っているご様子。
「わかるけど……一応、聞いてみただけさ」
「そうかよ。まあ、いいや。俺はお前と話ことはないし。本当に邪魔なんだが」
「俺だって、わざわざ、君のような嫌な奴と会話したくて、この場所を訪れたわけじゃないよ」
「ふーん……なんか、そういうところは気が合うみたいだな」
「……嫌なところでね」
久人は言い返す。
「面倒な奴だな。それより、ここに来るより、自分の心配をしたらどうだ?」
「……多少はしてるさ」
久人が今、学校中からのアンチと対立していることくらいは知っている。だから、それを対処するために、その元凶と対面しているのだ。
久人の正面に佇んでいる副生徒会長こそが、学校の掲示板。それと、裏掲示板を管理していることくらいわかっていた。
意味不明なことを書き込まないでほしいという趣旨を伝えようと、久人は口を開き、淡々とした口調で言い切ったのである。
「……君がそこまで調べるとはね。驚いたよ。そうか……だから、そうなんだね……昨日、生徒会室の窓とか、扉が開いてたのは、そういうことか」
副生徒会長はわかった口調で、自己完結するような話し方をするのだ。
もしや……
昨日、生徒会室にいる際、”ちゃんと閉めてくださいよ”って忠告したはずだったのに……。
副生徒会長のセリフを耳にし、今、振り返って思うと、嫌な意味合いでドキッとしてしまった。
すでに、こちら側の動きを察知されていたようだ。
もはや、言い逃れができない。
そもそも、今ここを訪れたのは、掲示板のことについて明らかにするためだった。
けど、立場的に、副生徒会長の方が何倍も上手だったらしい。
久人は絶望感に打ちひしがれてしまう。
心の中で、頭を抱えてしまったのだ。
「お前、何もかも雑だな。俺の目を誤魔化して、立ち振る舞えたつもりか?」
「……」
久人は絶句したままだった。
何も言い返せない。
「なんかさ、あいつと似てんな」
「え? 誰のこと?」
「生徒会長のことだよ」
「恵令奈先輩のこと?」
「ああ、そうだよ」
副生徒会長はニヤニヤしながら、バカにした感じに言う。
腹立ってしょうがなかった。
けど、久人はグッと、怒りを抑制しようと必死になっていたのだ。
「……それ、どういうことだよ」
「あれ? 知らないのか?」
「何をだよ」
久人は苛立っていたが、心に抱えたモヤモヤを少しでも解消したかったことで、ツッコんだ話し方をしたのである。
「生徒会長ってさ。ああ見えてさ、ずぼらなんだよ。適当っていうかさ」
「え……? そうなの?」
「やっぱ、知らないのかよ。それでよく、あいつと付き合ってんな」
副生徒会長は呆れた口調になり、久人を見やる。
その視線は鋭いモノだった。
「まあ、その方がお似合いか。なんかさ、あいつと結婚するんだろ? むしろ、今すぐにでも結婚して、どっかに言ってほしいくらいさ」
「な、なんでそんなこと――」
久人は好きな人の存在を貶されたことで苛立ってしまう。先ほどまで堪えようとしていた感情が多少なりとも爆発してしまったのである。
気づいた時には、もう遅かった。
刹那の瞬間に、久人は口を慎むようにしたのだ。
「あんな奴を好きになる奴、バカみたいだけどな」
「――ッ」
どうしても怒りを抑えるのは難しい。
散々な見下されようだった。
けど、必死に我慢したのだ。
「お前さ、もっと怒りを見せてもいいんだぜ? 仮にそうなったら、先生に告げ口して、もっと窮地に追い込んでやるがな」
「……」
駄目だ。
今は、副生徒会長の奴に、掲示板のことでマウントを取って、処理しようと思ったのだが、そんな状況じゃない。
むしろ、流れが副生徒会長の方に傾いている。
なかなか、この形勢を逆転するのは難しそうだった。
「何だ? お前、もう何も言えなくなったのか? じゃあ、なんでお前はここに来たんだろうな?」
「俺は、掲示板の件で……これ以上、変なことを掲載しないでくれ……」
久人は小声になってしまった。
「あれ? 俺に向かって反抗的な態度か? それよりさ、俺に指図する時は、お願いしますじゃないか? 土下座でさ。おい、やってみろよ。なあ」
意見するも煽られてしまうのだ。
こんなはずじゃなかった。
何もかも予定が滅茶苦茶である。
久人は絶望を心に抱き始めていた。
「お前にさ。一つ言っておくが、俺は、あいつが嫌だから、生徒会役員から追放しようとしてるわけじゃないさ」
「?」
「そもそも、あいつは邪魔なんだ。表向きはよく繕って見せてるけどな。そんなに仕事ができる方じゃない。まあ、アホな一般生徒も悪いんだろうけどな。どんなに生徒会長がアホであったとしても、爆乳ってだけで、アホな奴らの投票でさ。去年の生徒会役員の選挙で一位になりやがるし。本当は俺の方が上だったんだ。なんで、あんな奴の方が……」
副生徒会長は、苛立った表情で言い切り、久人を睨みかかってくるのだ。
「俺は……ただ、真面目にやりたいだけなんだ。それとさ、将来、社会人になったら、仕事ができる方が優遇されるに決まってる。むしろ、そうじゃないとおかしいんだ。結婚するにしても、優秀な方がしやすいに決まってるだろ」
「……」
久人は押し黙ってしまった。
久人は将来について、そこまで考えたことなんてなかったからだ。
ただ、
だから、そのセリフは、久人にとって想定外だった。
内面を抉れた感じに、ドキッとしたのである。
「というか、お前、そろそろ、どっか行けよ。お前との会話は終了だ。さっさとな。授業が始まるんじゃないのか?」
「……そ、そうだな……」
久人は心にモヤモヤした感情を抱きながら、生徒会室の扉を開け、廊下側に出たのである。
そこには東海先輩の姿はなかったのだ。
二時限目の授業が始めるゆえ、いつもの教室に向かって行ったのかもしれない。
久人も、遅れないように廊下を走りだした。
苦しみの感情を抱えながら――
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