第4話
「澪です。林田澪です」
「林田ちゃんね。覚えた。自分、入学式から話題やで」
色が抜けすぎて、毛先が金髪にも見えるほどの茶髪は、制服によく映える。否、よく目立つ。
「髪ですか」
「髪やね。うち、水泳部ないし、ちょーっと悪いやつらが多い地域やし」
「地毛です」
「自分、めげんね、おもろい。それは今よくわかったって」
めげないも何も、地毛だし、早く帰りたい。
「俺、サッカーやってる。2年の山本遥。またな、練習頑張れよ」
私の何を察知したのかはわからないが、彼らがさらっと帰路につこうとしたのには、少し慌てた。
「あ、ありがとうございます。お疲れ様です」
まるで部活の後輩のような挨拶をした。
おう、と言って去った彼らの後ろ姿を思わず眺めていた。
なるほど、先輩と後輩の恋愛模様が世の中に多いわけがよくわかる。
同じ服を着てるのに、自分より色々と慣れた姿を見ると、自分も早くこうなりたいという憧れが生まれる。
人間の哀れな脳は、それを恋だと認識するわけだ。
翌日から、学校帰りに会ったら、先輩方は声をかけてくれるようになった。
対して私も、気づけば、学校内で会っても、自分から挨拶するようになっていた。
生まれて初めての部活の先輩ができたかのようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます