Day4『紙飛行機』

 そして、彼はとてもとても綺麗な、滑らかな鳥のような紙飛行機を折って、スイと空に飛ばしてしまったの。

 青空を裂いて飛んでいく、白い稲妻みたいね。目が痛くなるような眩しいコントラストに、クラクラしてしまうね。

 それが元々、あの人に向けた手紙だったっていうこと、私知っているの。

 長い長い手紙を書いて、それでも捨てきれなかった最後の一枚を、私が見る前にと紙飛行機に変身させてしまったことを、私知っているの。

 彼はとても無邪気な様子で、風に乗って思いの外遠くまで行く、その白い軌跡を指差した。だから私も、無邪気に感嘆するふりをした。ふりのつもりが、本当に少し、泣いてしまっていたかも。

 実の所、私達はもうあんまり、無邪気でもないのだけれど。

 私達から脱皮した、あの白い鳥は、本当に綺麗だったもの。

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