反撃の狼煙をあげよう
急いで俺はセシリアからもらった手紙を取り出して、その内容を読み始める。そこには最初にドロシーへの謝罪の他に、ある場所への行き方が書かれた地図とこんなことが書かれていた。
【ドロシーさえよければ、この場所に行って欲しいの。ここはディランの行動に不信感を持った帝国の人たちが集まる、反帝国軍のアジト。まだまとまりもなくて、到底帝国を脅かすことのできる存在ではないけれど……ディランと真っ向からぶつかったドロシーなら、きっと彼らを導くことができると思うわ。だからお願い……ドロシー、力を貸して!】
「セシリア様……」
セシリアからの手紙を読み終えると、ドロシーは深刻な表情をしながらしばらく俯いてしまう。それもそうだ。まだドロシーはあの時のことを完全に克服できたわけではないし、また同じような目にあうことが何よりも恐怖だろう。
でも、ドロシーだからこそセシリアはこのお願いをしたんだろう。ディランに真っ向から立ち向かった正義感を持つドロシーなら、きっと悲願を成し遂げることができると信じたから。
なら俺ができることはなんだろう。ドロシーのように、俺は帝国の事情に詳しいわけじゃない。武器の扱いが上手いだけの人間だ。多少帝国に脅威を与えることはできるかもしれないけど、俺一人の力なんて知れてる。
……いや、そんな弱気になってどうする。俺はドロシーを絶対に幸せにするって決めたはずだ。そのためなら俺は、どんなこともする覚悟ができている。
「ねぇ、エリック……。わ、私……怖い。またあんな目にあうよりも、エリックが……酷い目にあうことが、何よりも耐えられないの」
今にも泣きそうな表情で、俺のことをぎゅっと抱きしめながらドロシーは不安を吐露していく。
「俺はドロシーがどんな選択をしても、いつも側にいるよ。絶対に君を一人になんかさせないから。それに、酷い目にあうほど俺は弱くないよ」
「……私を置いて死なない?」
「当たり前だ。もっともっとドロシーを幸せにしたいから、君を置いていくことなんかできないよ」
「……ほ、ほんと? し、死んじゃったら……イヤだよ」
「死ぬもんか。俺はまだまだドロシーと生きていきたいからさ。だから俺のことは心配しないで。ドロシーの決断を、俺は尊重する」
「……ありがとう、エリック」
何か吹っ切れたのか、ドロシーは決意を決めたようだ。涙をぬぐい、俺の手をぎゅっと握って俺にこう言った。
「私、ここに行く。セシリア様を助けたいし、帝国を平和にしたい。それに……もっとエリックと一緒にいるためにも。だから……一緒に、来てくれる?」
その返答はもう、俺の中で決まっている。
「もちろん。いつまでもお供させてもらうよ、ドロシー」
「……うん!」
こうして、俺たちはディランへ反撃の狼煙をあげるために、反帝国軍のアジトへ向かうことになった。
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