幸せな未来を掴むために


 準備を済ませた後、俺たちはセシリアの手紙にあった地図の場所に向かっていった。やはり帝国の反乱軍と言うだけあって中々行きづらい場所にあるため、すでに何日かかかってしまっている。


「ドロシー、大丈夫? 疲れたらいつでも言ってくれ」


「大丈夫だよ……エリック。早く着かないとお兄様が怪しんじゃうから、早く行かないと」


「……わかった。でも無理はしないで」


 息を切らしているドロシーを見ていたら、すぐにでも休ませてあげたくなる。でも、ドロシーが真剣な表情でそういったのなら、俺はそれを尊重するべきだろう。俺はドロシーの手をぎゅっと握って、また歩き始めた。


「……ねぇエリック。もしお兄様を止めることができたら……どんなことする?」


 歩いている最中、ふとドロシーがそんなことを聞いてきた。


「そうだな……やっぱり、ドロシーとお店とか開きたいな。多分戦争が終わったら、俺の武器もあんまり売れなくなるだろうし、新しいことに挑戦しないといけないと」


「そっか……。それならエリック、お店はどんな感じにする? 私、お祭りで着た衣装とかも……自分で作ってみたいなって思うの」


「それいい! ドロシーならきっと最高に可愛い服を作れると思うよ。それならコレットにも色々手伝ってもらわないとな」


「うん……! それとね、お店はいろんな人が楽しんでもらえるところにしたいの。身分なんか関係なく、みんなが一緒に楽しくいられるところを……私、作りたいから」


「ならお店を作るときに色々と頑張らないといけないな。資金とかも稼がないといけないから、これが終わってもなかなか忙しそうだ」


「ご、ごめんね……エリック」


「謝る必要なんてないさ。俺もドロシーのその夢、一緒に叶えたい。俺たちだけじゃなくて、他の人も一緒に楽しくいられるのが一番だもんな」


「……ありがとう、エリック。絶対、お兄様を止めようね」


「ああ」


 まだまだ先のことでそれを本当に実現させることができるのかはわからない。でも、俺たちならきっとそれを叶えることができるはずだ。ディランを止めて、必ず幸せな未来を掴み取ってやる。


「あ、あそこ……」


「あれが……」


 まだ少し遠い距離にあるものの、ある建物が俺たちの目に映る。そこはセシリアが記していた特徴と同じで、そこが反帝国軍の拠点であることがわかった。ようやくここまで来たことに俺たちは安堵しつつも、また気を引き締めて駆け足しながらそこに向かっていく。


 絶対に戦争を止めてやる。そして……ドロシーと絶対、輝かしい未来を作っていくんだ。

 

――――――――――

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