これ以上ないお似合いのカップル


「あら、あなたたち二人で料理を作るの? ドロシーが料理を作れたなんてびっくりしたわ」


 ドロシーと俺が料理している様子を見て、セシリアは少し意外そうにしていた。そうか、帝国にいた頃はまだドロシーは料理をしたことがなかったからセシリアからしてみればびっくりするのも仕方がない。


「え、エリックに料理を作ってあげたくて……するようになったんです」


「へぇ、本当にドロシーはエリックのことが好きなのね」


「そ、それは……そ、そうですけど」


「ふふっ。エリック、あなたは本当に幸せ者ね。二人とも、これ以上ないお似合いのカップルよ」


「へへっ」


 それから料理を作り終えたら、セシリアと一緒にご飯を食べた。どうやら俺たちの料理の味は彼女にも気に入ってもらえたようで、とても美味しく食べてもらえた。良かった、満足してもらえて。


「ごちそうさま。あなたたちの料理とっても美味しかったわ。いっそレストランでも開いたらどうかしら」


「レストラン……確かに、少しやってみたい気持ちはありますね。ドロシーはどう?」


「私も……うん、やってみたい」


「あ、でも……今は無理か。戦争が終わらないと……」


 セシリアからの提案に俺たちはつい乗り気になるものの、俺がディランに武器を作り続けさせられている以上到底それが実現することはないだろう。


「……そうよね。でも、もしその気があるのなら……私がこの前渡した手紙を読んでくれないかしら。それじゃあ、私はここで帰るとするわね」


「あ、送って行きま……」


「いいえ、大丈夫よ。……迎えも来ているみたいだしね」


「え?」


「お、お兄様………………!」


 セシリアが家のドアを開けると、そこには数名の兵士と、憎たらしい顔をしたディランの姿が目に映った。どうやら、俺たちはつけられていたみたいだ。


「御食事会は楽しめましたか、セシリア様」


「ええ、あなたたちが待ってくれたおかげで。それで、私を捕まえに来たのよね?」


「もちろん。あなたがなにやら怪しいことをしているようでしたので、また身体に叩き込まなくてはいけませんから」


「そう。でもあの二人には手出ししないでちょうだい。私の一方的なわがままでここに来たんだから」


「その対価はお支払いしていただけると?」


「ええ、好きにしたらいいわ」


「いいでしょう。エリックにはもっと働いてもらわないといけませんし、その心意気を買いますか。では、行きましょう」


 そうして、セシリアは兵士たちに連れて行かれた。どこまでのあいつらの手のひらで転がされていることに自分の力不足を感じずにはいられない。ドロシーも、以前と違って、気絶することはなかったけど息を切らして苦しそうにしている。


 どうにかしてあいつを止めることはできないのか……?


「……あ、手紙!」


 そうだ、セシリアから戦争を止める気があるなら手紙を読んでくれって言われた。それに何か書いてあるんじゃないか? そう思った俺は、急いでその手紙を取り出して、その中身を読んだ。


――――――――――

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