まだ受け取れない


「ただいま、ドロシー」


「お、おかえりエリック!」


 武器を作る量が多かったことで数日帰ることができなかったため、久しぶりに会えたことが嬉しかったのか帰った瞬間からドロシーに抱きしめられた。ぎゅーっと思いっきり抱きしめるドロシーの温もりは、俺にとっても温かくて癒された。


「今回は結構長かったね、エリック。ドロシーさんすごく寂しそうにしてたんだから。枕抱きしめながら「エリック……」って言ってたし」


「こ、コレットさん……!」


 コレットに俺がいない間のことを暴露されてドロシーは顔を赤くしながらあたふたし始める。そうか……次はどんなに仕事をさせられても早く帰ってこれるようにしよう。俺も正直ドロシーと会えなかったのは寂しかったし。


「ごめんな、ドロシー。次は絶対早く帰ってくるよ」


「うん……お願い」


「あ、そうだドロシー。これ、セシリアって子からドロシーに渡してくれって預かった手紙なんだけど」


 俺はドロシーにセシリアから預かった手紙を渡す。ディランからセシリアと会ったことは詰められたけど、なんとか誤魔化して手紙はバレなかった。でも、この手紙の内容って謝罪以外に何が書いてあるんだ?


「せ、セシリア様から……!?」


 それを聞くと、ドロシーはなんだか不安そうな表情をする。もしかしたら、俺が思っている以上に二人には何かわだかまりがあるのかもしれない。


「嫌だったら読まなくてもいいって言ってた。ドロシー、無理はしなくて大丈夫だよ」


「……………ごめんなさい。どうしても、帝国の人はもう……信頼できないの」


 ドロシーは手紙を読むことはなく、うつむきながら謝ってしまう。……それも仕方がないことかもしれない。ドロシーは誰からも助けてもらえずに奴隷になってしまった。だからこそ、今更謝罪されたとしても気持ちの整理をつけるのは難しいはずだ。


「わかった。セシリアには俺から伝えておくよ。それじゃあご飯にしよっか。今日は俺が作るよ。久しぶりにドロシーにご飯食べてもらいたいし」


「わ、私も作る! エリックにも私の料理食べて欲しいから!」


「あいかわらずラブラブだねぇ……」


 お互いのために料理を作ると言っているところをコレットに笑われながらも、結局一緒にご飯を作ることにした。やっぱりこうやってドロシーと一緒にいる時間が何よりも幸せだ……。


「はい、エリック。あーん」


「ん……ああ、やっぱりドロシーの料理は世界一美味しい」


「あ、ありがとう……。エリックも、あーんして」


「わ、わかった。ドロシー、あーん」


「……えへへ、美味しい」


 ああ、ドロシーの笑顔が本当に可愛い。もうこれだけで数年は生きられるかもしれない。


 それから俺らは料理を作り終えてご飯にして、久しぶりにドロシーの手作り料理をいっぱい食べた。ああ、やっぱり美味しい……最近全然食べれなかったから、いつもよりついたくさん食べてしまった。本当に、こういうひと時が一番幸せだと思う。

 

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