ドロシーのウェイトレス姿


「おはよーエリック。ちょっと相談があるんだけどいい?」


「コレット、どうしたんだ?」


 朝、ドロシーと一緒に朝ごはんを食べている最中にコレットがやってきた。なんだか重そうなカバンを背負っているのを見ると、どうやらお困りごとでもあるみたいだな。


「いやー、もうすぐモンカ村でお祭りやる時期じゃん。それでなんでか私の店でカフェやることになっちゃってねぇ」


「なんで防具屋兼服屋でカフェをやることになったんだよ……」


「みんなが私のウェイトレス姿を見たいって熱望してさー、ついつい断りきれなかったんだよね。で、本題なんだけど……二人にも手伝ってもらいたいなーってお願いに来たの!」


「え」


「はいこれお店の服!」


 コレットはカバンからカフェで着るらしい服を取り出して俺たちに見せた。服屋やっているだけあってちゃんとしたものを用意してるなぁ……。いや待て、そもそも話が急すぎて全然ついていけてないぞ。


「ちょっと待ってくれ。なんで俺たちにお願いしたんだよ」


「いやーここら辺に若い人なんて二人くらいしかいないし。多分結構人来るだろうから人手欲しいからさ。あ、でもジジババしか来ないからドロシーさんも大丈夫だと思うよ」


「う、うーん……」


 まぁ、何かとコレットには世話になっているし手伝うくらいなら俺は構わないんだけど。問題はドロシーだ。まだ他人が怖いだろうし、いくら老人しかいないとはいえ接客は色々と不安になってしまうかもしれない。


「ドロシーはどう? 大丈夫?」


「……ね、ねぇ……エリック。エリックは……わ、私がこの服着ているとこ見てみたい?」


「ん? あ、あー……」


 唐突にそんなことを聞かれたのでちょっとびっくりしたから言葉を詰まらせてしまうけど、答えは決まっている。


「……みたい」


 ドロシーが可愛らしいウェイトレス衣装に身をまとっている姿なんて、見たいに決まってるだろ! けど、その欲望を前面に出すわけにもいかないので、俺はついつい気恥ずかしく答えてしまった。


「……そ、そっか。そ、そしたら……き、着てみるね。こ、コレットさん……いいですか?」


「もちろん!」


 それからドロシーがウェイトレス姿に着替えるために、俺は一旦家の外に出た。ああ、なんかソワソワしてきた……俺がなんでそうなるのかよくわからないけど。


「エリック、来て来て!」


「お、おお」


 コレットに呼ばれて、俺は家の中に入る。すると、そこには可愛らしいウェイトレス衣装を着たドロシーが、もじもじしながら俺のことを待ってくれていた。


「ど、どう……エリック?」


「……」


「え、エリック……?」


「可愛い」


「ふぇ!?」


「可愛すぎて言葉を失いかけた」


「そ、そんな……お、大げさだよ」


「いや、本当だ。ドロシー、本当に可愛い」


「も、もう……」


「おーい二人とも、二人の世界に入らないでー!」


 コレットにそう言われるまで、俺はずっとコレットのことを見つめ続けていた。だって本当に可愛いんだもの。店で働くかは別として、ドロシーのこの姿を見られたことはコレットに感謝しないといけないな。


「それでドロシーさん、お店はどうする? もちろん、無理はしないでほしいけど」


「……え、エリックが側にいるなら……いいですよ」


「ほんと! じゃあ決まり!」


「おい俺の意思はどうした」


「聞くまでもないかなぁって。エリック、もっとドロシーさんのこの姿見たいでしょ?」


「……ま、まぁそれは……」


 事実を突きつけられると何も否定できないな。そうだよ、俺はもっとドロシーのこの姿が見たい!


「よし、それじゃあ明日お店に来て色々教えるね! それじゃ、私は準備があるからさらば!」


 そんなわけで、俺たちは村でカフェを一時的にやることになった。


――――――――――

読んでいただきありがとうございます!


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