第27話

あれから、すぐ辺境に行って結婚式をしたわ。


どなたもわたくしを歓迎して下さった。


フレッドにだいぶお金を使わせてしまったから、わたくしも事業を始めたの。


辺境は宝石が取れるんだけど大粒の宝石がメインで小粒の宝石は放置されていたから、放置されていた宝石を磨いて、庶民向けに安く販売したわ。


割と人気で、ようやくフレッドがわたくしの実家に払ったお金は返せたわ。なかなか受け取ってくれなかったけど、ケジメだからって受け取って頂いた。


例の男爵家は取り潰し。わたくしを監禁していた時のやりとりも証拠として出したら、フレッドが今すぐ潰して来るって大騒ぎだった。


騎士団にお任せして、その分わたくしと一緒に居てって言ったらなんとか諦めてくれた。


男爵の資産は、今まで被害にあっていた妻の方達にも一部分配された。それで治るわけではないけど、少しでも穏やかな日々の助けになれば良いと思うわ。


姉は結局、ケイリー様と結婚して、数ヶ月で離婚を申し立てている。


姉が結婚したと聞いたフレッドは、シャーリーの最後の慈悲は伝わらなかったのかと怒っていたわ。しばらくしたらケイリー様は捕まった。色々やらかしていたみたい。


元実家は、ケイリー様のしでかした事の賠償に追われている。愛人達も養う義務がなくなった訳じゃないから、ケイリー様と離婚が成立するまでは養っていて大変みたい。


姉は、何度もわたくしと連絡を取りたいと言ってきて、夜会で手紙を押し付けられた。


そこには、謝罪という名目の言い訳と、お金の無心が書かれていた。


記録玉を見たのはケイリー様と結婚した後だったそうよ。もっと早く記録玉を見ていれば良かった。なんであんな男と結婚したんだって書いてあったけど、知らないわよ。


手紙は、フレッドが笑って持って行ったわ。


「もう2度とシャーリーに連絡が来る事はない。もし夜会で会っても話しかけなくて良い。あちらが話しかけてきたら、王都を出入り禁止にして下さるそうだ」


「そっか、ありがとう」


「報酬が欲しいな」


そう言ってフレッドは、わたくしにキスをせがんで来る。


フレッドはかなり独占欲が強い。夜会でわたくしと離れる事はないし、他の男性と話しているとすぐむくれてしまう。


特に騎士団長様と話すと、すぐ嫉妬する。以前わたくしが最高の男性は、騎士団長様だって言ったのをクリストファー様から聞いたらしいわ。


だからそんな時は、フレッドの耳元で囁くの。


「フレッド以外の男性は好きじゃないわ。だからフレッドもわたくしだけを愛してね」


そしたら、すぐに機嫌は良くなるわ。夜はちょっと大変になるけど、幸せよ。


「シャーリー! 新しい宝石が出たからシャーリーのネックレスを作ったんだ!」


「フレッド……宝石を貰うのは今月で3回目よ?」


「む……そうだったか?」


「そうよ! そんなに貰っても困るわ。フレッドに貰った物は全部つけたいのに!」


既にフレッドからのプレゼントは、クローゼットにいっぱいで、毎日何かしらをつけているけど、たくさんアクセサリーをつけるのは好きじゃないから、つけられていない物がまだあるのよね。ドレスもまだ着れていない物がある。


たまに王太子妃になったエリザベスとお茶会をするんだけど、エリザベスよりアクセサリーを持ってるんじゃないかって言われて焦ったわ。


「嬉しいけど、そんなに物は要らないの。わたくしはフレッドが居れば他には何も要らないわ」


フレッドはそう言うと、いつも照れ臭そうに笑う。わたくしには優しいフレッドだけど、辺境を守るためにたくさん鍛えて勉強している。真剣に鍛錬をしたり、勉強をしているフレッドはとっても素敵なの。


わたくしも辺境で学んだ事はたくさんある。わたくしの知識が役に立った事もあるわ。だけどフレッドには敵わない。フレッドは、本当にすごいわ。


わたくしは今日も、尊敬できる優しい旦那様と幸せに過ごしているわ。これからも、もっと真摯に学んでいかないとね。


先生の教え、その10。夫となる人が、心から尊敬できる人である場合は、どんな困難でも乗り越えていけるだろう。


フレッドと過ごす日々は、とても楽しく充実している。

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