第13.5話 う、うれしいなぁ〜
「お大事に〜」
現在僕は、病院の診察を受け終えたところだ。
と言うのも、美少女クッキングバトルのゲテモノ料理により、全員が病院送りにされた為だ。
「うぅ、まだ気持ち悪いなぁ」
「当然ですよ。ゲテモノ料理を全部平らげてしまったのですから。にしてもまぁ胃薬を飲んだだけで、よく生き返りましたね。普通なら死んでますよ」
僕は病院から胃薬を飲んだだけで、意識を取り戻すことに成功した。
他の二人は大事には至らないもの、しばらく入院だそうだ。
……アホメシェフは精神的なものだから、入院の必要あるかな?
反対に僕は薬一つで治ったのだから、医師からは驚かれてしまった。
恐らく高田さんに殴られたことにより、体が頑丈になり、健康体にもなったのだろう。
そして僕は診察に付き添ってくれた黒……じゃないな。
諸悪の根源である黒井さんと病院から出ると、外では高田さんと相葉さんの声が聞こえた。
「どんだけ不味い料理作ってんねん! みんな病院送りになっとるやないか!」
「仕方ないでしょ?!アンタの全員倒れる激マズ料理を食べた後じゃ誰の料理食べたってお腹に入らないわよ!」
「トドメさしたのはサクラの料理やんけ!」
「ああん!?」
二人は今にも殴りそうな勢いで言い合っている。このままだと相葉さんが血だらけの無惨な姿になる!
「二人とも辞めなさい!」
「「!?」」
すると黒井さんが二人の仲裁に入る。
さすがやる時はやる男、黒井さん!
二人に仲直りしろと言ってやれ!
「無意味な争いはやめてください! お二人とも料理は同じ不味さですよ!」
「「ああん?!!」」
「焚き付けてどうするんですか!?」
結局、高田さんと相葉さんは、仲直り出来ずに終わった。
※※※
二人の喧嘩を止めた後、相葉財閥の自家用ヘリが来たことにより、相葉さん達はやっと帰ることに。
「次に会った時が、お前の最後やからな!!」
「フン!」
「はいはい。じゃあお嬢様、家に帰りますよ」
「覚えとk……!」
相葉さんが言い終わる前に、黒井さんはヘリのドアを閉じ、空高く飛んで行ってしまった。
「……なんかどっと疲れた」
「同感」
まるで5、6話ぐらいの長さだった。
高田さんも珍しく疲れている様子だ。
「……アタシって料理の才能ないのかな」
「え?」
高田さんがネガティブな発言をし、少し驚いた。
「料理って気持ちだけじゃダメなんだね……」
至極真っ当な事を言って、高田さんは反省している。
いや当たり前だろ! 逆によく気持ちを込めれば料理が美味しくなると思っていたもんだよ! と、言ってやりたがったが、
「そだねー」
面倒な事になるので言わない。
まぁ高田さんが思っていたよりも自分の料理が不味いのだと認識できたし、良かったと思うけど。
「どこがダメだった?」
高田さんが聞いてきたが、僕は悩んだ。
『どこが』だと?
全部だと思う。
まず腕力。高田さんは馬鹿力過ぎて料理に向いてない。
そして料理の仕方。
包丁持つ時刀持ってるみたいだった。そんでもってキッチンごと切り刻んでたし。何あれ?石川五右衛門か!
……そう言ってやりたいけど!
「え〜と……」
絶対殴られるから言えないよね!
ちくしょう!!!
「何か分かる?」
「う〜ん……」
ここは穏便に済ませて、高田さんの機嫌を取るしかないな。
早く帰りたいし。
「確かに美味しくはなかったけど、僕は現に食べ終えた。つまり食べたくなる何かがあったんだよ」
「何か…」
本当はやけくそで食べてたからなんだけどね。
「それは何か? そう! 愛情さ! 高田さんの愛が、料理を食べたくなるようにしたんだ! でも料理の基礎は大切だから、まず包丁の使い方からも勉強した方がいいね」
「う、うん!」
ベタ褒めしながらも、危険な行為については注意できた!
これで物理の死人はでなくなるだろう。
後は味しだいだが、それは高田さんの努力しd
「じゃあ今度はハルだけに料理するから食べてね!」
……え?
「よーし! じゃあもっと愛情込めて、いつかハルに『美味しい!』って言われるまで料理を作り続けるわ!」
「……わ、わーい(棒)」
褒め過ぎたぁぁぁ!!!
こうして、ハルトは今後サクラの料理を食べ続ける運命になったのだった。
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