第23話 キャンプファイヤー!

 その後剣士けんしたちとまきを運んだり火をおこしたりした。

 玉ねぎを切っていたなぎが「目が痛くなってきた」とか「涙が出てきた」とか「マスカラが落ちる~」とか騒いで辛そうにしていたから代わりに切ってあげた。

 そしたら今度は秋元がパックからとりだした肉をつんつんしながら「血がでてる~」、「ヌルヌルする~、気持ちわる~」っていうから代わりに切ってあげた。

 他はみんなに任せてオレは火加減の調整をしたりなんかしているうちにカレーは出来上がった。


 ションベンをずっと我慢してたのでダッシュでトイレに駆け込んですっきりして戻ってきたら、みんなはテーブルの席に男女で向かい合うような形で着いてもうカレーを食べ始めていた。

 オレも自分のカレーを入れようと思って調理台の所から深めの紙皿を手に取ったら「朝立あさたつくんの分ももう入れてあるよ」と凪が呼び掛けてくれた。

 その瞬間ブッっと男子たちが一斉に吹き出して「「朝立つくん!?」」、「朝世おまえ朝立つくんって呼ばれてんのかっ」と爆笑。

 女子たちは男子が吹き出したものにキャーきたない!と騒いで怒っていた。


「お前たちちょっとうるさすぎるぞ」と先生に怒られて騒ぎはすぐに収まったものの男子たちは「朝立くん……」と笑いをこらえていた。


 汚れたテーブルの上を簡単に布巾で拭いて、おかわりしたいやつは追加で盛りつけ、気を取り直してみんなでいただきますをした。

 オレのカレーには隣に座っていたゲンタが吹き出した麦茶が少しかかっていたけどカレーの味が濃いからそんなに気にならなかったしみんなで作っただけあってとても美味しく感じた。

 オレの向いに座っていた凪もカレーをおいしそうに食べていた。


 オレが紙コップの麦茶を飲み干したら凪がもっと飲む?ときいてきてペットボトルから注いでくれた。さっき男たちが吹き出した時に最初にテーブルを片付けだしたのも凪だったし、見た目に反してすげえ気が利く良い子だなと思った。


        ◎


 食後は女子達が片付けをしているというのに男子たちはゲンタが持ってきたマンガ雑誌に夢中になっていた。

 秋元たちがキレながら調理器具を洗っていたので申し訳ないなと思ってオレはかまどの掃除をやることにした。


 ゴミ拾いバサミみたいなものでかまどの炭を集めていて何気なく辺りを見回したら、ゴミ置き場のところに安達琉偉あだちるいがゴミ袋を持ったままつっ立ってこっちを見ていた。

 安達はすぐに目をそらすとゴミ袋を置いてどこかへ行ってしまった。


 プールでのあの一件があってから安達に監視されている気がする、近くを通ろうとしただけでスーッとさりげなく逃げられた事もあるしかなり警戒しているみたいだ。オレのことをいったいなんだと思っているんだあいつ。


         ◎


 あたりも薄暗くなってきた頃、野外活動最後のイベントとなるキャンプファイヤーとフォークダンスが行われた。


 パチパチと燃え盛る炎を真ん中に囲んでみんなで並んで輪をつくって踊った。

 何かの儀式みたいですげーテンション上がる。


 福本尊ふくもとたけるはクラスの男子らに「今日は彼女がきてなくて残念だな~」と揶揄われて苦笑いをしていた。


 オレは今回は鈴木凪とちゃんと踊ることが出来た、凪はまるで友人と久しぶりの再会でもしたかのように「朝立~」と言いながらオレの手を握ってくれて楽しそうに踊ってくれていたのでちょっと恥ずかしかったけど楽しかった。


 フォークダンスの練習をした時に石川をいじめたみたいになって凪は険しい顔をしていたからオレの印象悪くなったんじゃないかと思って心配していたけどあまり気にしていないみたいなので良かった。


 その後はバスで帰って19時すぎには学校に付いて解散した。

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