第7話 不良の道

 人気者グループにも特別枠があるのを知っているか?

 人気者グループからも一目置かれる存在、それが不良グループだ。

 危険な匂いのする悪い男も何故かモテるのだ。

 

 しかも不良は運動や真面目を嫌う、だからほぼ全員が帰宅部。

 オレにぴったりだ。


 その頃からオレはテストの回答をわざと間違えるようにして点数を落とすようにした。

 髪の毛はブリーチしまくって金髪にした。ワックスもいっぱいつけてツンツンにしたしピアスの穴も耳たぶを氷で冷やしながら安全ピンを使って自分であけた。

 母さんはテストの点数とかオレのファッションには全く興味のない人なのでそこは良かった。

 筋トレのメニューも増やした。不良は喧嘩する機会も多いらしいからいつ誰と戦いが始まっても勝てるように常に強くあらねばならない。

 言っとくけどオレは暴力は大嫌いだ、あくまでも自衛のためだ。


 休み時間になると不良のやつらと仲よくなれるよう出来るだけ自分から話しかけに行く努力もした。

 その甲斐あって少しずつ仲良くなってたむろする場所にも誘ってもらえるようになった。


 不良の世界は怖い。

 道端で不良の先輩に出くわすと理不尽にキレられたり蹴られたり殴られたりもするし、他校の不良とは何故かいつも仲が悪く、出合い頭に抗争になりそうな場面にも何度も出くわした。

 タバコもみんな普通に吸うし、何度も先生に見つかって職員室にも何度も呼びだされた。

 オレは将来の事を考えているからタバコは絶対に吸わない、貴重な小遣いから金を払って不健康を買うなんて頭がおかしいとしか思えない、不良仲間にすすめられても味が苦手とかテキトーな事を言ってごまかしている。

 でも匂いは結構好きだ、母さんの服や髪からもよく匂ってくるし昔から馴染みがある香りだから友達が吸っていても気にはならない。受動喫煙とかいうのもあるみたいだけどそんな事を気にしていたら不良と仲よくはやっていけない、友達のためならちょっとくらいの被害は被ってやるというのが真の友ってもんだ。

 あと不良はどこでも座る、地面に直で座るのは衛生的な面で最初は抵抗あったけど今ではすっかり慣れた。



 中二の時、担任の先生に呼び出されて「朝世あさせくんは最近どうしたの? おかしいよ? 成績も落ちてきているし、こんな事をするために部活も辞めたの?」って言われたけど笑わせるな、何も問題はない全ては順調にいっている。

 いちおう先生の気分を害さないように反省しているふりをして「すみません」とだけは言っておいた。

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