第8話 じつは、ついてた(BL注意!)



「水城、おまえ、じゃん!」


 カアッとますます顔を赤くする水城。

 男? まさか、こいつ、男なのか? でも、どこから見ても美少女なんだけど……。


「えっ? 男?」

「オスですにゃ?」

「おい、てめぇ、どこのまわしもんだ? 切りおとすぞ、コラァッ」


 ホールダーたちもだ。

 美少女たちが周囲からよってたかって押さえつけて、水城のパンツ(この場合は二重の意味で)をずりおろした。

 ある! まちがいなく、ある。おれにくらべても、だいぶ可愛いけど。


「な、なんで、男? だって、八乙女さんの変異体だから……ん? 変異で男になったってか?」


 水城はみんなの前で下半身をあらわにされて、屈辱的な顔で身悶えてる。

 なんか……可愛いな。美少年、もしかして、おれ、イケる口?


「ち、違う。僕は八乙女博士が最後に研究してた、メールタイプの沙織なんだ」

「メールって? スマホで送る……」


 あれ? なんだ? みんなの白い目。


「人間の男性形ってことですわよ。玲音」と、桃花。


「八乙女博士って、君たちを遺伝子操作した親父だよな。じゃあ、君らのなかに一定確率で男もいるってことか?」


 沙織を見ると、首をふった。

「そんなの、わたしは聞いたことない」


 説明したのは水城本人だ。


「メール型はほんの数人しか作られなかった。失敗作だったから。僕以外はみんな処分されたよ。ほんとは博士、男女のクローン人間を娘の遺伝子から作って、自然繁殖させたかったんだと思う。でも、僕、体は男だけど、繁殖できないんだ。心も女だし、無精子症だから……」


 うっ、そんな『だからイジメないで』みたいな、ウルウルした目で見るなよ。可愛いじゃないか。顔は八乙女さんだし、どっから見ても女だし。


 胸がなくてモノがついてるけど、見ためは完全女の子のが、美少女たちに押さえつけられて、半裸を恥ずかしがってる! 嗜虐しぎゃく的!


「水城、心は女なんだ?」

「そうだよ」

「おれのこと好きなんだ?」

「うん……好き」

「じゃあ、いいよね?」

「……えっ? 今?」

「今がいい」


 というか、たぶん、今じゃないと二度としない。

 じゃ、いっただきまーす!


 四十分後——

 美少年も美味しくいただいてしまった。肉づきがほぼ女なんで、ついてることさえ気にしなけりゃ、女の子に遜色そんしょくなかった。甘い声出すし、衆目にさらされて羞恥しゅうちにふるえる姿も可愛かった。おれって意外とヘンタイ。


「そなたも趣味が悪いのう。よりによって、アンコモンのおのこなぞ、すておいてもよかろうに」


 九尾が言うんで、ほかの女の子たちも賛同する。


「十枠しかないんだしぃ、使えないのはいなくてよくないぃ?」

 これは、百合。


「だよな!」と、紅葉。


 なるほど。ステータスを見ると、水城はアンコモンだ。

 のちになって知ったんだが、レア度はノーマル(またはコモン)、アンコモン、レア、スーパーレア、レジェンドの順らしい。


「あっ、でも、水城のスキル。男性ホルモンって、なんだ?」


 アンコモンのわりに筋力値高めなのは男だったからなのか。

 水城はまだ赤い顔しながらつぶやく。


「それはメールタイプだけが持つスキルだよ。僕自身にはなんの効果もないんだけど」

「どんなスキル?」

「マスターが……絶倫になる」


 ハハハ! なるほど。だからか。この前から、やけに元気がありあまってるんだよな!


「——って、おまえのせいか! おれがどんどんエロおやじ化してくの!」

「それは……玲音の最初からの資質だと思う」


 まあいいや。女の子(一人、男の娘だった)が、十人もいるんだからな。精力はあまるくらいでちょうどいい。

 むしろ、水城は今後も絶対、外せない。ありがたいスキルだ。


 それに、まだ一枠あまってる。

 なんて、思ってたんだが、そのあとすぐに、枠がいっぱいになる事態が起こった。


 その夜のことだ。


「今日は百合な。メイド服にコスプレしてくれ」

「ええっ? まあ、いいけどぉ」


 百合をつれて寝室に入る。

 ムフフ。何しろ、絶倫だから。しかも、すればするほど補正値はあがるし、一石二鳥! 全員と一周まわったら、二周め三周めもまわろう。そのうちには3ピー(ピー音風に)とか、4ピーなんてのもアリ。


 いやでも、ロリは、ちょっとな。

 美少年はイケたけど、幼女はどうもその気になれん。おれの道徳心ってやつか?


「さあ、メイドさん。ご主人さまに奉仕するんだぞ」

「あーん。玲音のエッチィ」


 ところがだ。楽しいことをしてる最中に、急に百合が顔を押さえて苦しみだした。


「百合? どうした?」


 ベッドにすわって、百合に奉仕させてたおれは、おどろいて彼女を見なおす。

 部屋は暗い。ベッドのフットライトが下から美少女を照らす。


 目の錯覚か? 百合のゆるふわな髪が、みるみるうちに伸びてる気がする。

 髪っていうか……頭がちょっと前よりデカくなってないか? いや、てか……てかさ。目、目が三つ? あるように見えるんだが!


「ゆ、百合……?」

「いやぁ! 見ないでぇー!」


 百合は部屋のすみの暗がりまで走っていった。ううう、うううと低い声でうなってる。

 きょわいー。何が起こってるっていうんだよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る