パンダです。
突然電話がかかってきたので、アサミはその電話に出た。
携帯端末を耳に当て、会話を始める。
「どうしました?マルコさん」
電話してきた主はマルコヴナであった。
マルコヴナは、アサミが電話に出たことを確認し、話を始める。
「えぇ。実は、ヒート・アサシン・ナイフの改良案とその設計図はできたんです」
「本当ですか!?」
「えぇ。ただ━━」
「ただ?」
マルコヴナは口ごもっていたが、言わなければ話が進まないと思い、事実をアサミに突きつけた。
「━━元々熱圧縮機構って<アキレス>の会社が作った武器なんです。ただ、それはいいんですが、どう考えても素材が足りないんです。そもそもどんな素材を使ってるかもわからないし……なので、それに変わる素材が必要なんですけど、熱に耐えられる素材……思い当たるのが、
━━
「
「えぇ、パンダです」
「あの可愛らしい?」
「えぇ、パンダです」
「映像でしか見たこと無いけど、すごく可愛いよ?あいつら」
「でもパンダです」
全く意味がわからなかった。
パンダの素材なんて本当に強いのだろうか、なんて思ってしまう。
しかし、これはアサミの知識不足である。
パンダは、その生態系から希少な存在であり、また見た目が可愛らしいことから、人気のある動物だ。━━昔の地球では、の話だが。
こういった凶暴な
しかし、宇宙進出から半世紀たった時代では、そんなこと知っている人のほうが少ないのだが。
「でも、
「なるほど、それでパンダの素材を代用しようってことですか……」
「そういうことです。ということで、一緒にジャイアントパンダ討伐の許可を取りに行きたいと思うんですが……どうですか?」
そう。
緊急事態の場合はそんなこと言っていられないので特別に攻撃が許可されているが、
勿論、許可を取らねばならない。
しかも、今回は<イカロス>に加え、<ノア>との
「許可は、大統領に直談判するしかありません。それぞれがちゃんとした主張をするため、二人で直談判に行くんです」
なるほど。
全ての状況の把握、そしてこれからマルコヴナが何をしたいのかも分かった。
「じゃあ、どこで待ち合わせします?」
「そうですね……先に<イカロス>の大統領、ニアール大統領に直談判する必要があると思うので、<イカロス>側の場所で提示してください」
「分かりました。じゃあ━━━━」
こうして、待ち合わせ場所を決め、ニアール大統領に直談判しに行くことになった。
勿論、アサミもマルコヴナも、ニアール大統領に会うのはこれが初めてである。
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