インファイト

”ドォォォォン”


「クッソッ!」


これは敵ASCOFアスコフのヒート・ソードの攻撃によって握っていたヒート・スピアーが斬り裂かれ、爆発してしまったために思わず口の端から漏れたバンディックの言葉だ。


「あのなぁ!ヒート・スピアーの熱圧縮機構の部分って小さいんだよ!分かってやってんのかよ、オイ!」


もう一度敵ASCOFアスコフがヒート・ソードを振り下ろしてくる。




ヒート・ソードは、<アキレス>の企業会社が作っている、熱圧縮機構を持つASCOFアスコフ用の兵器である。

しかし、刀身全てに熱圧縮機構を使っているのに、目の前の量産機には何故装備されているのか。

それは、どれだけ熱圧縮機構を使っているのかではなく、その中身・・にあると思われる。

一般的に、ヒート・ソードは汎用性の高い、量産機に使えるほどのコスト性ではない武装なのだが、最近、色々な国の裏企業が裏取引をしているという情報が頻発している。

そして、その裏取引での熱圧縮機構の中身は━━━━




バンディックのナイトモスキートは、振り下ろされたヒート・ソードを避けることはなかった。

何故か?

そのヒート・ソードは、ナイトモスキートの腕の中まで斬っていく。

そして、ナイトモスキートの腕の中でその刃は動きを止めた。

ASCOFアスコフはヒート・ソードを引き抜こうとするが、中々動かない。


「やっぱりなァ……」


バンディックの読みは当たっていた。


「そのヒート・ソードは、ただの裏取引で手に入れた粗悪品だァ!これが肉を切らせて━━」


ヒート・スピアーが無くなって、空いた右腕で敵ASCOFアスコフを、


「骨を断つ、だァ!」


”ガシャァァン”


殴った。

必死だったのでどこを殴ったのかわからないが、敵ASCOFアスコフの顔が少し凹んでいる辺り、多分顔をかすって殴ったのだろう。


吹き飛んでいった敵ASCOFアスコフを見ることもなく、バンディックはナイトモスキートの左腕に刺さったままのヒート・ソードを引き抜いた。


「よし、ヒート・スピアーの代わりは確保できたな」


そうしてヒート・ソードを眺めている隙にと、敵ASCOFアスコフはテムル111初期型を構え、ヒート・ソード向けて連射した。


バンディックは油断していたため、ナイトモスキートの動きを止めていた。

敵もいくら量産機に乗っているとは言え、動かない的に銃弾を当てられないほど、弱いわけがない。


テムル111初期型から発射された銃弾は全てヒート・ソードに当たった。

熱圧縮機構が爆発し、そのまま武器全てを爆発させる勢いだ。


「チッ!」


バンディックは舌打ちをしながらもうすぐ爆発するであろうヒート・ソードを投げ捨てた。

ヒート・ソードは宇宙空間内でふわふわと浮かんだ後、当然のごとく爆発した。




これでお互い、武器がなくなった。

ASCOFアスコフも、どうやら今の乱射で弾を使い果たしたようだ。

しかし、銃自体・・・はまだ武器になる。


ASCOFアスコフはテムル111初期型の銃口を掴み、それで殴りかかろうとする。


「させるかぁっ!!」


テムル111初期型がナイトモスキートの体にぶつかる前に、それを蹴り上げた。

テムル111初期型は吹き飛んでいく。

ASCOFアスコフはテムル111初期型を追おうとするが、バンディックは勿論それを許さない。

ASCOFアスコフの肩を掴み、半回転させた。


ASCOFアスコフ同士の目が合う。


「武器がないなら、やることは一つだろ━━?」

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