生死の岐路
軍の職員(パイロットも含む)全員がブリーフィングルームに集められた。
合計でおよそ200人にも及ぶ職員の列は、これから何が起こるのかまったくもって想像できないような状況にするには十分すぎるほどだった。
集まったみんなが口々に色々な話をしている。
「一体何が起こるんだろうな?」
「もしかしてまた<イカロス>に攻め込む作戦でも立てるんじゃないか?」
「そんなことより腹減ってんだよ、早く終わらせて〜」
やる気があるのか無いのか━━
グラマスやバンディックはその声に苦笑を浮かべるしかなかった(グラマスはまったくもって笑っていない)。
みんなが集まっているその前にはステージのように台になっているところがあり、その台には宇宙軍最高責任者のジョニック・シャーケイスが立っている。
それだけで、ただならぬ雰囲気が漂っているのは間違いなかった。
ジョニックがステージ脇から出てきた部下の男の耳打ちを聞いた後、目の前においてあったマイクの前に立った。
「注目!」
ブリーフィングルーム内にジョニックの声が響き渡った。
その声を聞いて、話し声はぱったりと途切れた。
ブリーフィングルームが静寂に包まれたのを確認すると、ジョニックは会話を続けた。
「只今、<アポロン>自動防衛システムから連絡があり、
静寂になった部屋が、再びざわめき出した。
要するに、敵の出現である。
あのうるさいサイレン音も、自動防衛システムのレーダー反応の反動で自動的にアナウンスが発生したのだろう。
「しかし出所がわからない為、これより3人制の小隊を作り、<アポロン>宙域内の調査作戦を開始する!」
そしてこの提案にもざわめきが大きくなったことは間違いではなく、今、ここで戦闘が始まってしまうのかという恐怖よりも、誰が調査するかの話題に移っていた。
「
この場にいるグラマス以外の全員が唾をゴクリと飲んだ。
では何故グラマスはそんなにも堂々としているのか?
3人の中に選ばれると確信していたからだ。
だから、余裕の表情でこの場に立っているのだ。
「まず一人目!」
発表が始まった。
みんな、額から汗が出ている。
選ばれたらどうしようという、不安と期待が混ざったような気持ち悪い感情に皆支配されている。
そして、ジョニックの口が開いた。
「バンディック少佐!搭乗機体はナイトモスキート!」
バンディックは安心したようにふぅ、と息を吐いた。
「続いてヤガー・オーチ中尉!搭乗機体はナイトモスキート!」
ヤガー・オーチ。
聞いたことがある。
紅蓮の虎コンピューターで勝ちはしないものの高スコアを叩き出していると噂で聞いたことがある。
よって、当然の人選とも言えるだろう。
「そしてグラマス・パナ・ゴーマス!搭乗機体は
その場にいる全員が一斉にざわつきから話し声に変わった。
「グラマスって、あの?」
「ウワサだとなんかめちゃくちゃイキってるらしいぞ」
「俺らそんなやつに負けたのかよ?」
「ありえない」
「静粛に!」
”キィィィィィン”
ジョニックはマイクの音が割れるほど声を荒げた。
またもや静寂に包まれた。
「今回はこの3人で小隊を組む!これは決定事項である!異論は認めない!今すぐ作業に取り掛かれ!」
「「了解!」」
その場にいるジョニック以外の全員の声が重なり、それと同時に全員がその場から離れた。
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