第4話
翌日もやはり閉店間際に柊生が店にやってきた。
「ももちゃん、あの子って昨日の子だよね。今日も一緒に帰るの?」
冬馬さんが心配してるのか不安そうに聞いてきた。
「多分それで待ってるんだと思います」
「ふーん、そっか」
ふーん?冬馬さんにしてはトゲのある言い方に聞こえた。
私的には冬馬さんに送るよと言われなくて済むから正直助かったと思っていた。
それからと言うもの柊生は私を送り続けてくれた。そのお陰かあの怖かった人に会うこともなく平和に過ごせていた。
あっという間に12月に入り、柊生と出会って三週間が過ぎようとしていた。
その間も特別何かあるわけでもなく帰りの数十分一緒に居るだけだった。
その日も一緒に帰っていた。
「ももちゃん、少し話いい?」
「いいけど、なに?」
「とりあえず座ろ?」
「うん」
駅まで向かう途中にある公園のベンチに腰掛けることに。
「あのさ、俺の事どう思う?」
「どうって?」
「知ってると思うんだけど、俺ももちゃんが好きなんだよね」
知っていると言うか好きじゃなかったら毎日送りなんかしないだろうし、私を見る目で薄々は気付いてたけど。
「うん、なんとなくは」
「初めて会った時は一目惚れしちゃって、つい気持ちが先走っちゃったけど、後で友達に相談したらアドバイスもらったんだ」
「アドバイス?」
「うん。毎日少しでもいいから会うといいよって、そしたら時々長い時間を過ごすよりも信頼度は増すって」
「そうゆう事って告白した相手に言う事かな?」
「俺、隠し事とか出来ないタイプだからつい言っちゃうんだよね」
「でもその友達の言ってる事は正しいかもね。私も柊生の事いいなって思ってる」
「マジで?!じゃあ俺と付き合ってくれる?」
「うん、いいよ」
「よかったぁ!」
彼氏は作らないようにしていたけど、柊生と過ごす時間はとてもドキドキ出来て私には新鮮だった。そして何より私は柊生の笑顔が好きだ。
「喜びすぎでしょ」
柊生はとても嬉しがっていた。
そして、スッと近くに寄ってきた。
「キスはまだダメ?」
な、なんだこの子犬感。わざとなのか本気なのか、そんな目で見られたら‥‥。
「ダメではないけど‥‥」
「じゃあ俺からいくよ」
子犬感と思っていたら今度は男を感じる。てかキスなんて何年もしてないし年下にリードされるのは少しプライドが許さない。
そう思った私は返事をする前に柊生にキスをした。
「ももちゃんって積極的なんだね」
「普通だよ。これくらい」
正直強がったけど、久しぶりのキス。すごく、もっとしたいかも。でもいきすぎは引かれても困るし柊生がどこまで経験してるのかも分からないから慎重にしよう。
「そうだ!ももちゃんの休みの日デートしようよ!もう恋人だからいいよね?」
「休みかぁ。うん、いいよ」
そして今更連絡先を交換するのであった。
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