第5話
初デート当日は久しぶりに髪を巻いたりメイクも気合いを入れておしゃれを頑張った。
玄関の全身鏡で最終チェックをし、家を出る。風がとても冷たいが、いい天気だ。
待ち合わせは告白された公園になった。
私の住んでいるところは周りに何もないからデートには不向きだ。
少し早めに着いた為まだ柊生はいなかった。休日ともあって公園にはちらほら人の姿が。私がきょろきょろしていると、急に柊生が現れた。
「ビックリした、今来たの?」
「うん、ももちゃん気づかないんだもん」
それもそのはず、いつも制服を着ていた柊生の私服はとてもおしゃれで流石今時の子だなぁと思っていた。私はバイトのしすぎで感覚がおばさんになっている。
「じゃあどこ行く?」
一応聞いてみた。
「俺んちすぐそこだから来る?」
「えっ、いきなり?」
「あ、ごめん。また気持ちが先走ってたわ。ももちゃんが可愛すぎるからイチャイチャしたかった」
「ちょっと何言ってんの?」
柊生は本当にどんな恋愛をしてきたらそんな事普通に言えるようになるんだ?
「じゃあももちゃんが行きたいとこ行こ」
「そうだなぁ、私マフラーとか見に行きたい。バイトばっかでゆっくり見る時間なかったんだよね」
「オッケー!決まりね」
そして、私たちはウインドーショッピングを楽しんだ。その中で柊生の好きな物や嫌いな物、ハマってる物とかの話になった。
「柊生はよくクレープ買ってるけど甘い物好きなの?」
「普通だよ。ただももちゃんに会いたいから買ってるだけ」
「でも始めから私の事知ってたわけじゃないでしょ?」
「うん。でもフラフラしてる時にももちゃんが店に入って行くの見てタイプだったから追いかけて店入ったら働いてた」
「柊生っていっつもそんな感じなの?」
「そんな感じって?」
「結構ぐいぐいくる感じ」
「だって一期一会じゃん。それにタイプの人に会う確率って少ないのにみすみす逃すわけにいかないし」
「なんかたくましいね。思いのままに突き進んでて」
「後悔したくないし、一目惚れしたのももちゃんが初めてだったから」
「そうなの?慣れてたように見えたからよく声かけてるのかと思ってた」
「ひどいなぁ、誰でもいいわけじゃないよ」
「ごめんごめん」
なんか‥‥すごく嬉しい。
「てかお腹空かない?」
「そうだね、何か食べよっか」
私たちは遅めのランチを済ませると、腹ごなしに少し歩くことに。
「今度こそ俺んちで休もうよ」
「‥‥うん」
イチャイチャしたいって言ってたけど、そうゆう事になるのかなぁ。でも流石に心の準備がまだなんだよなぁ。それなのに柊生は心なしかテンションが高めだ。
「おじゃまします」
「どうぞー、誰も居ないから安心して」
「ご両親は出かけてるの?」
「殆どいないね」
「そうなんだ」
私は柊生の部屋に案内されると、とりあえず空いているところに座った。
「ももちゃん今日何時まで大丈夫?」
「うちは基本何時でも大丈夫だよ」
「泊まりも?」
「それは流石にダメだけど」
「なーんだ、ちょっと期待しちゃったじゃん」
「ごめん」
「じゃあお詫びにキスして」
「そのくらいでお詫びしないといけないの?」
そう言いながらもキスをすると、柊生が抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと待って」
これ以上続けると怪しくなりそうだった為私は一旦止めた。
「なんでやめるの?」
「まだ心の準備が‥‥」
「ごめんね。つい興奮しちゃって」
「今日のところは帰ろうかなぁ」
「来たばっかなのに?」
「でも日も暮れてるし明日もバイトだから」
「じゃあ送るよ」
結局その日は何も進展はなく、いつものように家の近くまで送ってくれた。
「いつもありがとね」
柊生の後ろ姿を見送って家に入った。
久しぶりのデートはやっぱり楽しかった。今とっても恋愛してるって感じ。
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